<大相撲名古屋場所>◇5日目◇17日◇愛知県体育館

 東前頭2枚目の豊真将(33=錣山)が、横綱日馬富士戦で右足を負傷し、今日6日目からの休場が決定的になった。押し倒しで敗れた瞬間に右膝を痛めた模様で、打ち出し後に救急車で名古屋市内の病院へと運ばれた。12年九州場所で左肩を負傷し、一時は関取最下位の西十両14枚目まで番付を落としながら復活した元小結の実力者が、またも試練に見舞われた。

 粘り強く横綱に立ち向かった先に、悲劇が待っていた。日馬富士にはたかれ体勢を崩した豊真将が、何とかこらえようと両足を広げた瞬間だった。俵に掛かった右足がつっかえ棒のようになる。とどめを刺されるように横綱に頭を押さえられると、右膝が伸びきったように尻もちをついた。

 立ち上がれない。勝ち負けにかかわらず、いつも深々と礼をして土俵を下りる男が、そんきょもできない。土俵上で呼びだしに助けられ、転がりながら土俵を下りた。異例の光景に、館内も静まり返った。付け人らの肩も借りて引き揚げ、車いすに乗り換えて支度部屋内の医務室へ。変形はなかったが、画像で診断する必要があり、救急車で名古屋市内の病院へと運ばれた。

 悪夢は、繰り返された。小結だった12年九州場所で左肩腱板(けんばん)を断裂。一時は幕下寸前の西十両14枚目まで陥落した。昨年夏に復帰も、今年初場所は虫垂炎で休場。だが、春は十両優勝、夏場所も9勝。新横綱鶴竜の露払い役としても元気な姿を見せ、今場所は東前頭2枚目から三役復帰を狙うはずだった。

 北の湖理事長(元横綱)も「これはきついよ」と心配そうにこぼした。重傷と見られ、今日6日目からの休場は決定的。不屈の魂ではい上がってきた豊真将に、またもつらい試練が訪れた。