広島は30試合を消化し、11勝16敗3分けの5位でスタートを切った。昨年まで監督を務めた日刊スポーツ評論家の緒方孝市氏(51)が、ここまでの戦いぶりと今後のポイントを語った。合格点を与えた攻撃陣は機動力や小技の重要性を説き、課題とした中継ぎ陣は若手と経験者の融合を浮上の鍵とした。

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30試合を終え、結果だけを見れば苦しいかもしれないが、明るい材料もある。攻撃陣はリーグトップのチーム打率2割8分9厘。堂林とピレラが昨年までの打線から新たな戦力としてしっかり数字を残し、中軸の得点圏打率も高い。攻撃の形はしっかりしている。

「好機であと1本が出ない」という声も耳にする。ただ、毎回得点できるほど簡単なことではない。反対に多くのチャンスをつくれているとプラスにとらえることだってできる。負ければどうしても、そういったところに目を向けられるものだ。ただ、長いシーズン、このまま高い数字を残し続けることは難しい。数字が落ちてきたときに、機動力や小技などを絡めた攻撃が必要になってくる。

今後の改善点はやはり投手力になるだろう。特に防御率5・04の中継ぎ陣の整備は今後の浮上の鍵と言える。試合終盤の1点の重みは、中盤までの1点の重みとは違う。明るい材料もある。若い塹江、ケムナ、島内ら新しい選手が出てきた。思い切りが良く、球に力がある。経験をさせながら、戦力にしていくか。そのためには経験のある一岡や菊池保、フランスアらの力は欠かせない。経験のある選手で若手を支えながら、若手の成長を促していくことで投手力は上がり、防御率の良化にもつながるはずだ。

先発にしてもそう。大瀬良というエースが抜けたことは痛いが、今季初登板で好投した野村、この日から1軍に合流したK・ジョンソンと経験ある投手がカバーしてくれるはずだ。若い森下、床田、遠藤も試合をつくる力はある。毎試合計算できる安定感はまだないかもしれない。それでも登板ごとに反省するところは反省して、次の登板に向けて課題を持って調整し、経験を積んでいければいい。

大瀬良はチームに同行していると聞く。今年は開幕から6連戦が続く過密日程になっている。他球団と違って広島は戦力が厚くないので、主力のアクシデントがチーム力に及ぼす影響は大きい。今後は主力であっても、コンディションを見ながら思い切って休ませることも必要になってくるかもしれない。【前原淳】