ヤクルトに勝ち越し、首位巨人とのカード初戦も逃げ切った。阪神の13連戦はスタートからすべて1点差ゲームで厳しい戦いを強いられている。

吉田 一戦必勝しかない。ちょっと言い過ぎかもしれませんが、阪神にとって敵は巨人だけですわ。戸郷を引きずり降ろしたのは収穫です。サンズのホームランは値千金だった。西の継投は遅れたが、抑えのスアレスに安定感がある。それほど巨人は怖くない。そしてわたしがあえて評価したのは小幡の働きです。

6回。小幡がバットで5点目をたたき出したのが効いた。ただ7回の巨人に2点を許したのは、小幡が先頭亀井の二ゴロをファンブルしたのがきっかけだ。

吉田 本人が一番わかっているエラーです。失敗して覚えるんです。彼に素養を感じなければ、ここで取りあげませんわ。ファームの試合でもみてきた。重箱の隅をつつけば、いくらでも言いたいことはある。でも特に守備に関して捕ってから送球する動き、一連の流れが非常にスムーズです。4回の打球も普通にアウトにしているようだが難しい打球ですよ。

4回。先頭で2番松原の二ゴロは瞬時にはねたが、小幡が処理した。手ごわいクリーンアップを前に堅いディフェンスをみせたのだ。

吉田 小幡の反応が良かった。しばらく使い続けてほしい。首脳陣は1軍に上がってきた糸原に、おれの出番はまだまだかと思わせるんですわ。それが競争を生んで、戦力層になる。小幡にとって、またチームにとって中身のある勝ちになりました。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】