逆転優勝に向けて負けられないロッテが、“左腕攻略”のお手本になるような打撃に徹して勝利を挙げた。前日の試合は終盤までリードしながら追いつかれての引き分け。残り試合を考えれば、直接対決2戦目の今試合は絶対に勝たなければいけない試合だった。オリックスの先発山崎福に対し、チーム一丸となって襲いかかった。

山崎福といえば、140キロ台中盤の真っすぐとスライダーのコンビネーションを使い、チェンジアップを決め球にする左腕。この手の投手はそれほどの球威もないだけに、打者はついつい長打を狙いたくなる。強振すれば“ゴロの山”を築くが、相手の術中にははまらなかった。

真っすぐは逆方向を狙い、変化球は強振しない打撃を徹底していた。初回、先頭打者の荻野はカーブをバットに乗せるように右前へ。続く中村奨はカウント2-1からヒットエンドランで左前。ゴロを打たせて取る投手に対し、ゴロを打たなければいけないヒットエンドランは有効な戦術で、アッという間にチャンスを作った。1死後、レアードも逆方向に押っつけるような打撃で1点を先制した。3回にも山崎福から3安打と1四球でノックアウト。2番手のK-鈴木からも2四球を選んで4点を奪った。

今試合の山崎福は真っすぐが高めに浮いたこともあるが、ゴロアウトは5個(併殺は含めず)。そのうち自由に打っていた外国人のマーティンが2個で、エチェバリアが1個(併殺)を記録。クリーンアップ以外の日本人打者は“左腕攻略”の基本を徹底したバッティングだった。

3番のマーティンと4番のレアードは、狙い球を絞ってくるタイプ。ツボにはまったときは怖いが、驚異的な打撃技術を持っている打者ではない。日本人打者で3割以上、打っているのは荻野だけ。個々の打者を見ると、それほど打てる打線のようには思えないが、今試合を含めて551得点はリーグトップ。派手さはないが、基本に忠実な打撃をチームで徹底する強さがある。首位オリックスとの直接対決は、残り1試合。連勝すれば、逆転優勝の可能性も膨らんでくる。(日刊スポーツ評論家)

オリックス対ロッテ 3回表ロッテ2死満塁、藤岡の2点適時打に喜ぶロッテベンチ(撮影・渦原淳)
オリックス対ロッテ 3回表ロッテ2死満塁、藤岡の2点適時打に喜ぶロッテベンチ(撮影・渦原淳)