阪神ドラフト2位の鈴木勇斗投手(21=創価大)と同3位の桐敷拓馬投手(22=新潟医療福祉大)の新人左腕2人が15日、沖縄・宜野座で行われている春季キャンプの第4クール初日に初めてシート打撃に登板した。

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シート打撃に登板する桐敷(撮影・上山淳一)
シート打撃に登板する桐敷(撮影・上山淳一)

新外国人選手が合流できていない宜野座キャンプ、阪神にとって数少ない新戦力である2人がそろってシート打撃に登板、明暗を分ける形になった。

まずは矢野監督が「もう使える」と太鼓判を押している桐敷が打者を打ち取る術(すべ)のようなものを見せた。象徴的だったのがマルテの打席だろう。

ストレートとカーブで簡単に追い込んだ3球目。捕手のサインに首を振って内角ストレートを投げ込んだ。これが少し外れ、ボールに。すると今度は外角のきわどいコースにチェンジアップを投げた。いいコースだったが、選球眼のいいマルテに見逃される。

シート打撃で桐敷(左)はマルテを三ゴロに仕留める(撮影・加藤哉)
シート打撃で桐敷(左)はマルテを三ゴロに仕留める(撮影・加藤哉)

平行カウントになって、どうするかなと思っていたら内角スライダーを厳しいコースに投げ込んで、バットを折った。もう1球、真っすぐとも予想したが、実に落ち着いた投球だった。あのマウンドでの様子を見れば矢野監督が「使える」と言うのも分かる。左打者は当然として対右打者でも十分、勝負できるはずだ。

シート打撃で佐藤輝(手前)に四球を与えうつむく鈴木(中央)。右は大山(撮影・上山淳一)
シート打撃で佐藤輝(手前)に四球を与えうつむく鈴木(中央)。右は大山(撮影・上山淳一)

対照的に鈴木は制球に苦しんでいた。ストライクを取れるというのは1軍で投げるための最低条件ではあるが、ルーキーとして緊張もあっただろうし、これが実力ではないはず。これを経験にして、次にどう臨んでいくかというところを首脳陣は見ている。

いずれにしても、新人投手が苦しむのはアマ球界とのストライクゾーンの違いだ。間違いなくこれまでより狭く感じるはずで、これに早く慣れることが大事だ。(日刊スポーツ評論家)

阪神キャンプを視察する緒方孝市氏(撮影・前岡正明)
阪神キャンプを視察する緒方孝市氏(撮影・前岡正明)