投打に物足りなさを感じる試合だった。ソフトバンクには井上、リチャードという若手の台頭を感じる一方で、チャンスを与えられている巨人の若手はというと、フレッシュさも食らい付こうとする必死さも見えなかった。松原には大きな期待をかけているだけに、打席の中で1球に集中しているのかと、疑問符がついた。
6回先頭の第2打席では1-2と追い込まれてから、外角の150キロを空振り三振。スイングは全力だった。思い切り振ろうと決めているかのようなスイングだ。力んでいるから体が開いている。左腕大関との対戦なのだから、追い込まれた後は、体が開かないように、投手の方に体を入れていくイメージで、そして力感をセーブすれば、あんなにあっけなく終わることはない。
左投手からすれば、左打者を追い込めば最後は外角で勝負する確率が高い。そこをしっかり頭に入れているか。頭に入っていれば、ボールの見極めも可能になる。松原のスイングからは、振ってしまえの淡泊さしか感じられなかった。
外角球を意識しつつ、内角を攻められても苦しくならないように備え、100%を60%にセーブしてスイングする。かつ、ボールをセレクトする。昨年、外国人選手と競いながら、規定打席に到達した松原には、こうした実戦の積み重ねで、さらに成長できると感じる。
ルーキー大勢は力のあるまっすぐがあるのは分かった。それだけに、プロではまっすぐだけでは抑えられないことを理解して、残りのオープン戦を大切にしてもらいたい。
150キロのまっすぐはそれだけで十分に武器になる。そのまっすぐを最大限に生かすには、緩急が大切になる。スライダー、フォークとのコンビネーションの中で、いかにまっすぐを速く感じさせるか。変化球の質を追求した次回登板を期待したい。(日刊スポーツ評論家)