巨人は新外国人の2本のホームランで4得点を挙げ、広島に連勝した。昨年は新外国人のスモークが途中帰国してから失速。シーズンは3位に終わったが、新外国人さえ機能すれば、首位争いができると改めて思った。

ただ、2人が活躍しても「首位争いができる」とは言えるが「優勝できる」とまでは言い切れない。その理由が、この試合にはたくさんあった。

まず2失点した内容を振り返ってみよう。最初の失点は6回無死一、二塁、小園の右前適時打だった。一、二塁間をゴロで破るヒットだが、ホームに生還した二塁走者のマクブルームは、決して俊足の選手ではない。しかも無死という状況を考えれば、セオリーなら無理してホームを狙う必要はない場面だった。そんな状況の中、マクブルームは楽々と生還。明らかに右翼手のポランコの守備力を狙われていた。

2失点目は7回2死二塁、マクブルームの右前適時打だった。この打球はライナーだったが、うまい外野手であれば捕れていたと思われる打球だった。いずれにせよ、ポランコの守備で失った2失点に思えた。付け加えると、今試合では大事な守備機会はなかったが、左翼を守るウォーカーの守備力はポランコ以下だと断言できる。

現時点で2人の守備力が急激に上がることは考えられない。しかし、失点を少しでも軽減できる対策はある。

今試合、5回と7回に2死一、二塁から二塁にけん制球を入れた。2回目のけん制は悪送球になって三進されたが、両方ともアウトのタイミングだった。遊撃手はまだ2年目の中山だが、けん制に入るタイミングはいい。両外国人が両翼の守備につき、走者が二塁にいればワンヒットでホームを狙ってくるだけに、リードは大きくなりやすい。けん制でアウトにできなくても「けん制があるぞ」と思わせれば、リードを小さくできるメリットも生まれる。

問題は最低でも今ぐらいのペースで本塁打を打ち、打率もキープすること。逆に相手球団は、本塁打だけでももう少し防いでおきたい。右打者のウォーカーが右投手から3割2分6厘で左投手には2割1分1厘。左打者のポランコは右投手2割5分2厘で左投手には3割4分8厘。この数字を見ただけでも、内角に弱点がある。

この日のホームランは両方とも内角球だったが、もっと厳しい球であれば、本塁打にはならなかっただろう。それに2本とも初球だった。しっかり対策さえすれば防げていた。2人の新外国人を対策を巡って、優勝の行方は大きく左右すると思う。(日刊スポーツ評論家)