球宴明けヤクルトに勝ち越した阪神が、ロード初戦終盤に巨人を突き放した。

山田 梅野と小林の差が表れた。1点リードで逃げにかかっているメルセデスを強気にさせることのできない小林。浜地、湯浅ら経験の浅い若手を弱気にさせずに引っ張った梅野。この一戦に関しては、この2人の差が出た。青柳も勝ちがついたが、実際の内容は下降線にきているところを梅野がよく支えた。巨人はチームにも、個人にも好不調の波がありすぎる。投手力はもちろん、大城を含めて捕手にも弱点がある。やはり、坂本がいないとまとまらないチームなのだろう。

阪神は1点リードの9回1死二、三塁。梅野が桜井の2ストライクからの3球目を打ち、詰まった右前適時打で2点を加えた。

山田 巨人は1点取られると負けに近づく場面だから、満塁にしてもいいぐらいの配球、投手に余裕をもたせるぐらいのリードをしないといけない。その後は糸井ら代打が出てくるのだろうが、1点勝負だから、梅野に打たれるのも、糸井に打たれるのも同じこと。巨人はもっと厳しい野球をするべきだ。

1点を追う6回。佐藤輝が1ボール2ストライクから、4球続けた直球を捉え、左前適時打で追いついた。

山田 今の佐藤輝は追い込まれると、強引にならず、うまく軽打でヒットにしているところに成長を感じる。一方の小林は、スライダー待ちと読んで裏をかいたつもりだろう。たとえそうであっても、ストレートならふところに投げさせないといけない。ただ構えただけで、投手に意図が伝わらないようではいけない。

7月31日のヤクルト戦(甲子園)の11回。村上に2ボールから、3打席連続となる痛恨の2ランで敗れた後だけに、大きな1勝だ。

山田 村上は2球目のスライダーが膝元に外れた時点で勝負にくると確信したのだろう。もうインコースには攻めてこないと読んだはずだ。ヤクルトは息を吹き返している。阪神もここは3つ取るチャンスだ。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

巨人対阪神 6回表阪神1死二塁、佐藤輝は左前適時打を放つ(撮影・加藤哉)
巨人対阪神 6回表阪神1死二塁、佐藤輝は左前適時打を放つ(撮影・加藤哉)
巨人対阪神 9回表阪神1死二、三塁、右前に2点適時打を放つ梅野(撮影・たえ見朱実)
巨人対阪神 9回表阪神1死二、三塁、右前に2点適時打を放つ梅野(撮影・たえ見朱実)