中日OBで98年に監督として横浜を日本一に導いた日刊スポーツ評論家の権藤博氏(84)が、立浪中日2年目のキーワードとして「新二遊間の構築」を挙げた。就任1年目を最下位で終えた立浪和義監督(53)はチーム改革に着手。権藤氏は二遊間の安定稼働が優勝争いの絶対条件とした。【聞き手=安藤宏樹】

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ドラフト、トレード、新外国人獲得など、このオフは監督自ら、大胆な選手の入れ替えに奔走したようです。そこからはチームを変えたい、という意思が伝わってきます。

だた、外国人は来てみなきゃわからん。新人選手も計算はできません。だからペナントレースも結局、やってみなきゃわかりません。現時点でわかることは、ここ数年、チームの柱のひとつだった二遊間の阿部と京田がトレードでいなくなったこと。2件のトレードによる成果が来季の行方に、大きな影響を与えることは間違いないでしょう。

広いバンテリンドームを本拠地として戦うチームだけに、投手を含めた守りは最重要課題。楽天涌井、DeNA砂田と投手2人を交換で獲得したことは、基本方針として評価できます。その一方で、完全消滅した守りの要所である二遊間をどうするのか。さらに阿部は堅実な守備に加え、チームで数少ないポイントゲッターとして存在感を示してきた選手。攻守に空いた穴をどう埋めるのかが重要です。報道などによれば、遊撃を土田、二塁にはドラフト2位の村松や同6位の田中ら新人選手を候補として若手に競争させる方針のようですが、開幕からの二遊間の安定稼働は大きなポイントになるでしょう。

二遊間を短期間で作り上げることは容易ではありません。スペシャリストだった監督自身、百も承知のはずです。あえてそこにチャレンジするということは、低迷が続くチームを「根底から変える」という意思の表れと受け取っています。現場を指揮する監督が編成面も主導する現状の球団運営システムの是非は別の機会で触れたいと思いますが、いずれにせよ結果責任は監督が負うわけです。「この選手で行く」と決めたら、開幕からブレることなく、新たな二遊間を構築してほしいと思います。

近年の戦いぶりを見ると、どの球団にも優勝チャンスがあると思っています。裏を返せば、どのチームも下位に沈むピンチと背中合わせ。常にギリギリの戦いが迫られる。そんな中、新しい二遊間がチームを支え、優勝争いに参戦する。2023年はそんなシーズンにしてほしいと願っています。(日刊スポーツ評論家)

<中日来季の内野争い>

【一塁】○ビシエド、○アルモンテ、●郡司

【二塁】○村松、○田中、○福永

【遊撃】◎土田、○浜

【三塁】◎高橋周、○石川昂(リハビリ終了後)

※◎当確、○有力、●候補

会見を終え中日立浪監督(右)と写真に納まる涌井(22年11月25日撮影)
会見を終え中日立浪監督(右)と写真に納まる涌井(22年11月25日撮影)