首位阪神の連勝が、ついに「9」でストップした。勝てば球団新記録となる月間20勝だったが、達成することはできなかった。日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(69)は高卒2年目ながら「7番指名打者」で先発した前川右京外野手(20)の打撃を解説した。

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打線の主軸を打つために、何が必要かと言えば、強く振れて、遠くに飛ばせるということが一番だ。3三振に終わったが、前川はその要素を持ち合わせているということが魅力だ。

彼に関してはよくバットを「振れる」と表現される。確かにしっかりとスイングができているのだが、振れるということはタイミングが合っているということだ。この日の3打席はボール球に手を出して空振りしたが、まずまず相手投手に対してタイミングが合っている。ボール球だからバットに当たらないだけ。タイミングが取れないと、自分の形では振れない。だから、相手には、ひとつ間違えたら、打たれるんじゃないか、いい当たりされるんじゃないかとみられていると思う。最近の打者は、足を上げてタイミングを取る選手が多いが、前川はすり足気味で、どういう投手に対しても、タイミングを合わせるのに苦労しないだろう。

打席を見て思うのは、低めの変化球をしっかり見極められると、ボールカウントがよくなるから、チャンスがもっと広がる。そういうことが経験だが、ボール球を振らずに待てると、チャンスが出てくるということ。今は打ちたい気持ちが出過ぎて、力みにつながっているが、もう少し力が抜けると、粘って、ボールを拾っていけるはず。今後は結果を残せないと、我慢して使っていくことはないだろうが、雰囲気の良さは感じる。

チームは9連勝で止まったが、大山のバント処理や二遊間の併殺プレーなど守備がしっかりしているので、悪い負け方には見えない。今の状態をキープしていけば、大きく崩れることはない。