阪神才木浩人投手(24)がロッテ佐々木朗との投げ合いにケリをつけた。

そこには岡田監督の勝機、吉井監督の誤算といった思惑が交錯した。

梨田 試合前の岡田監督が「6回まで才木が無失点でいってくれたら、うちにチャンスがくるはず」と語った読み通りになった。現在日本球界でナンバーワン投手の佐々木朗を相手に投げる才木には力みがあってもおかしくなかったが、バランス、球持ちが良く、緩急のついた素晴らしい内容だった。ロッテ打線の早打ちが功を奏したと指摘されるかもしれないが、それは才木が相手チームから好投手と認められているからだ。球質という点では才木という投手はNPBで5本の指に入ると思っている。

その才木は6回を63球の“省エネ投球”で乗り切っていた。逆に佐々木朗は6回、大山に適時打を許すまでノーヒットだったが、4回の1イニングだけで26球を費やすなど球数がかさんでいった。結局は6回を投げきって102球だった。

梨田 おそらく吉井監督は佐々木朗について80球から90球ぐらいをメドにしていたはずだ。しかし、その思惑とは裏腹に球数は増えていった。阪神の各打者が粘ったというより、佐々木朗の方から崩れたイメージが強い。球審のばらつきもあったかもしれない。4回ぐらいから左腰が開くようになってシュート回転する投球が増した。そこへ岡田監督が語っていたように、6回に中野の二盗に暴投、大山の適時打でワンチャンスをモノにした。そして才木の臆することのない投球に、梅野の配球が絡んだ。

阪神のブルペンは岩貞抹消で8人から7人になっていた。

梨田 9連戦、ブルペン事情、それに5日は継投の展開が予想される。だからこそ才木の完封は大きかった。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】