最終戦で勝った方がCS進出を決める異例のカードは、シーズンの戦い方がそのまま出て決着した。ロッテは突出した個人成績もなく、チーム成績でも打率、防御率、エラーはリーグでいずれも下位。さえない数字だった。
それでも、ここまで粘ってきたのは、相手のミスに付け込むスタイルをシーズン通して貫いたからだろう。ワンチャンスを得点につなげる能力は、どこよりも秀でていたということだ。
2回、1死から山口の三塁線の打球に小深田の球際の弱さが出て、記録は二塁打。続く岡が内角を無理に引っ張らず右翼へ運んで先制。則本からすれば不運だったが、ここで踏ん張れずに先手を奪われたのは大きかった。
ロッテは4回に安田のソロで追加点。7回は1死から安打の安田を犠打で送る。中村奨のヒットで2死一、三塁。荻野の投手強襲安打でダメ押しの3点目を奪った。
楽天2番手の宋家豪は、荻野の打球に手が届かなかった。それほど強烈な打球ではなかったが、瀬戸際のプレーで確実性を欠いた。ロッテは2度、楽天のミスを逃さず、今季のロッテらしい試合運びで楽天に引導を渡した。
楽天からすれば、6回までに4イニングで先頭打者がヒットで出塁も、3度の併殺打でチャンスをつぶした。小島の低めに集めるピッチングは光ったが、楽天の淡泊さも目についた。
特に初回の1死満塁では岡島が2ストライクを奪われてから、無理に当てにいっての内野ゴロ。ここは形はどうであれ1点奪っていれば、というポイントとなる場面をフイにした。
相手のミスをチャンスとして得点したロッテと、ミスに付け込まれただけの楽天。対称的な試合だった。こうした大一番で、今季の特徴がはっきり出たのは印象的だった。
ロッテは小島をファーストステージの1、2戦目に使えないのは痛いが、この試合で勝たなければ先が無かっただけに、前向きに先に進めるだろう。こういうシチュエーションでのロッテはどこか不気味だ。
阪神が18年ぶりにリーグ優勝しているが、その時シーズン2位からプレーオフで日本シリーズに進出したのがロッテ。そして阪神を破り日本一に輝いている。
最終戦の直接対決に勝って2位通過を果たした。これで本拠地ZOZOマリンでファーストステージに臨める。ロッテファンの団結力もボルテージも最高潮でCSに入れそうだ。
谷保さんが1日でも長くアナウンスができるよう、ロッテは勝負強さをいかんなく発揮してほしい。(日刊スポーツ評論家)