巨人田中将大投手(36)が3カ月振りに復帰し、ヤクルト石川雅規投手(45)と投げ合う。率直に思ったのは「どっちも勝って欲しい」だった。鍛錬と工夫を重ね、現役を続ける両ベテランとも応援したい。もちろん、両方勝つことなどあり得ない。だから、できれば2人の投げ合いは見たくない。そんな複雑な気持ちを抱え、試合を見始めた。

2人とも持ち味を出していた。田中将は、かつてのように球の勢いで封じ込むタイプではない。2回り目、3回り目となると、変化球を見極められてくるし、球数が増えれば制球も乱れてくる。それでも球数をかけてもいいので、ボールを動かしながら、手を替え、品を替え、抑えていく。

ただ、4回の失点はもったいなかった。2死から内山、村上に四球を続け、オスナに同点打。フルカウントとなり、さすがに3連続四球は出せない心理がある分、甘くなったのだろう。また、内山への四球はスライダーが3つ外れた。1発もあるとはいえ、神経を使いすぎたように見えた。

変化球に頼りすぎると打者も慣れてくる。かといって、ストレートの勢いで抑えることも難しい。それでも、やはり、カギはストレートだと思う。全体的には変化球でストライクが取れる。いかに打者にストレートを意識させるか、使い方がポイントだ。2回先頭で村上にカウント2-1からインハイ147キロで見逃しストライク。5回2死満塁では内山に対し、カウント1-1からインロー147キロで見逃しストライク。いずれも内角を突いて追い込んでから、低めにスプリットを落とし空振り三振を奪った。いずれも直前のストレートが効いていた。

石川も持っているベストを出した。1回1死一塁で泉口に対し、外へスライダーを続けて追い込んでから初めてインハイにストレートを投げ一飛。最高の打ち取り方だった。24年連続安打も素晴らしい。

しかし、2人が見応えのある投げ合いをしてもモヤモヤが残る。理由は明らか。6回先頭で二塁の増田大がゴロをファンブル。田中将の途中降板につながった。その後、中村悠の左前打で勝ちが消えた。キャベッジの本塁返球はショートバウンドだったとはいえ、岸田が捕っていれば生還は阻止できた。捕手がカバーして欲しかった。ヤクルトもバント失敗が目についた。1プレーが甘いというか、ぬるいというか。これでは両チームとも上にはいけない。両ベテランが粘っても、どちらにも勝ちがつかないという結末。阿部、高津両監督の怒りを通り越した、あきれっぷりが伝わってくるようだった。(日刊スポーツ評論家)

巨人対ヤクルト 6回裏巨人1死一塁、岸田を投ゴロ併殺に仕留め喜ぶ石川(撮影・野上伸悟)
巨人対ヤクルト 6回裏巨人1死一塁、岸田を投ゴロ併殺に仕留め喜ぶ石川(撮影・野上伸悟)