3年目を迎えたロッテ香月一也内野手(21)は今年、新たな“相棒”と練習している。白いマスコットバットだ。今は2軍で汗を流す毎日だが、ティー打撃やフリー打撃の始めに使っている。

 このマスコットバット、35インチ(約89センチ)と長い。若手が簡単に使いこなせる代物ではないが、香月は「難しいですけど、だいぶ慣れてきました」と、うれしそうに話す。実は、尊敬する人から譲り受けた。昨秋、2軍のロッテ浦和球場でのこと。その年限りでユニホームを脱ぐことを決めたサブロー(大村三郎)に呼び止められた。「これ、使ってみろ」。そう言われ、手渡されたのが、白いマスコットバットだった。

 今は、球団のスペシャルアシスタントとして活動している大村氏に真意を聞いた。「短いバットを振るのは楽なんだよ。若い時から楽をして欲しくないからね」。昨季は2軍にいることが多かった。香月の非凡な打撃センスを見て、時々、アドバイスを送っていたという。「あいつは良い。使っていけば、絶対良くなる」と目尻を下げた。自分のバットを託せる素材とみた。お前が引き継げ。頼んだぞ-。そういう願いが込められている。

 サブローも、香月も、高校からプロの世界に飛び込んだ。先輩が1軍に定着したのは5年目からだった。後に続くべく、香月は今日もバットを振っている。【ロッテ担当 古川真弥】