<西武7-5ソフトバンク>◇27日◇メットライフドーム

西武の本拠地メットライフドームの一、三塁側ベンチ前のフィールドには親会社・西武鉄道の企業広告コピーがペイントされている。「あれも、これも、かなう。」-。

ライオンズは08年のリーグ制覇以来、「かなわなかった夢」にまた1歩、大きく近づいた。工藤ホークスは絶対に負けられない試合を落とした。最終12連戦。初戦で散った。西武の優勝マジックは「3」。昨年、V奪回に成功し、歓喜の舞いを見せた敵地・所沢で今度は西武辻監督の初の舞いを見ることになるのだろうか。絶対に負けられない試合はまだ続く…。

胴上げ阻止は当然だろう。監督就任から「あれも、これも」かなってきた工藤ホークスにとっては16年以来の屈辱は味わいたくない。ましてや、目の前の胴上げとなると、福岡にホークスが移転して2度しか経験していない。初年度の89年近鉄V(藤井寺)と97年西武V(西武球場)だけである。99年の初優勝から、目の前でリーグVの胴上げをされたことはない(プレーオフ、CSを除く)。

「負け」を前提に戦うわけにはいかない。だが、逆転Vの可能性が残っているとは言っても現実路線への切り替えも必要かもしれない。「あれも、これも」にはこの際、目をつむってCSに向けた戦いの軌道修正も求められそうだ。クライマックスシリーズで勝ち上がれば必ず西武と対戦することになる。ここに来ての対西武4連敗は、CSを考えても厳しい結果となった。「苦手意識」だけは払拭(ふっしょく)しておかなければならない。【ソフトバンク担当 佐竹英治】