<広島1-0阪神>◇2日◇マツダスタジアム

プロ入りを阻んだ弱点はいつしか、浜風の吹く甲子園で最大の武器となった。

今では有名な話だが、聖望学園時代の鳥谷は、高卒でのプロ入りを希望していた。夢はかなわなかった。その理由が「引っ張れない。逆方向ばかり打つから厳しい」だった。

もともと利き手は左。左手で強く押し込む独特のスタイルが、この15年で短所から長所に変化したのだから興味深い。

「高校時代は、反対方向にしか打てないと言われてプロに行けなかった。でも、大学時代は反対方向に打てるからプロで通用すると言われた。おもしろいもんだなって。今となっては、反対方向に打てるのも、甲子園の特性を考えれば良かったのかもね」

右翼から左翼に吹く浜風に乗せて大飛球を放つ。鳥谷は甲子園でプレーするべき男だったのかもしれない。【阪神担当=佐井陽介】