長野久義外野手(34)の人的補償での広島への移籍発表から一夜明けた。新聞の朝刊には、驚きとともに巨人の球団関係者、チームメートの「ショックです」「寂しいです」などの心の声とともに、広島の選手、関係者からの歓迎の声が並んだ。

巨人軍から正式に発表されたのは、7日の午後3時だった。記者にも長野を知る他球団の選手、野球界関係者から次々に連絡が入った。球団からの正式発表後にもかかわらず、ほぼ全員が「本当なんですか?」と尋ねるほど、衝撃のニュースだった。

「サカチョー」として、ともにチームをけん引した坂本勇人内野手(30)は「…」と数秒間沈黙した後、言葉を絞りだした。「何も言葉が出ないです」。それ以上、言葉は続かなかった。普段はしっかりと言葉を発するキャプテンが「すみません…」。また沈黙し、会話は終わった。

人的補償で西武に移籍した内海哲也投手(36)も同じだった。「…」。必死に言葉を探すが、見つからず。何とか心に整理をつけながら「僕が移籍する時にチョーさんは『寂しい』と言ってくれましたけど、僕も本当に寂しいです。チームは変わりますが、ともに同じ形での移籍になるので助け合いながら、頑張りたいです」と静かに話した。

内海、坂本勇の「…」の中には、苦楽を共にした選手だけが共有する特別な思いがあるのだろう。先輩、同い年、後輩から「チョーさん」と愛された男。自主トレ先のアメリカで長野は今、何を思っているのだろうか。【巨人担当 久保賢吾】