<ソフトバンク5-2日本ハム>◇11日◇ヤフオクドーム

長丁場のシーズンを通して万全の状態で戦えるチームはほぼ皆無に等しい。十分すぎる戦力を整えても、故障あり、不調ありで、やりくりに腐心するのはどのチームでもある。言い換えれば「窮地」をいかに乗り越えるか。これが強いチームと弱いチームの差と言っていい。

ソフトバンクは主砲・柳田が左膝裏の肉離れで離脱した。開幕から好調を維持していた助っ人グラシアルも左脇腹痛ですでにチームを離れ、好打者の中村晃も開幕からいない。打線は本来の姿からはほど遠く、苦肉の日が続く。確かに痛かろう。でも、これこそ首脳陣の腕の見せどころではないだろうか。破壊力満点の打線が万全なら、選手に任せればいい。窮地をいかに乗り切るか。ベンチワークからすれば「大変」なことだろうが、どう戦うのだろうか? というファンの視線からすれば楽しみの1つかもしれない。

打つしかない、という2死満塁というシチュエーションもよかったが、この日の下位打線には留飲を下げた。上林、甲斐、釜元が3連続タイムリー。全5点をたたき出した。大黒柱が不在ならば文字通り「打線」でカバーするしかない。二塁から巨漢を揺らして果敢に本塁へ滑り込んだデスパイネの激走も一丸を象徴していた。

8回にはこの日登録された美間が移籍初ヒット(右二塁打)を放った。キャンプからしぶとい打撃をアピールしていただけに、自身もチームも「乗せる」一打になったかもしれない。今日12日から楽天、ロッテ、西武と3カード連続のロード。新戦力の踏ん張りも楽しみではある。それにしてもファームではベテラン長谷川勇も打撃好調を維持している。悲観するほどの窮地でもない。【ソフトバンク担当 佐竹英治】