心強い戦力が、帰ってきた。オリックス白崎浩之内野手(29)が7月22日に今季初昇格。オールラウンダーがベンチに戻ったことで試合終盤での「攻めの采配」を振りやすくなった。

白崎が出場選手登録された22日楽天戦(楽天生命パーク)は8回に3点、9回に6点を奪い、最大6点差を大逆転勝利。捕手・伏見以外のベンチ入り野手を全て起用する執念のタクトで、チームは勢いに乗った。

白崎は18年7月にDeNAからトレード移籍で加入した。プロ8年目で、移籍3年目となる今季に「準備だけは欠かさない。どこでもチャンスがあるなら、ひとつも無駄にせずに頑張りたい」と気合を入れる。地道な結果の積み上げが、首脳陣の信頼を得た。

今季は開幕2軍スタートだったが、着実に数字を残した。2軍戦11試合に出場し、打率3割8厘。一塁や三塁に加えて、昇格直前には二塁も守った。

「(内野を)どこでも守れるというのは武器になる。言われたところで、きっちり結果を残すのが仕事」

苦い経験が、白崎の意識を高めた。12年ドラフト1位で駒大からDeNAに入団。右の和製大砲候補には、当然、周囲からの期待も大きかった。「言われたこと(助言)全部を受け入れてしまっている自分がいたんです。何を、どうしたいのかが見えなくなったり、周りの人が自分をどう見ているのかが気になったり…。そんな時期がありました」。

長所を伸ばすよりは、短所を埋めた。「パワプロ(コナミ社の野球ゲーム)で言えば、オールD(能力値をA~Gの7段階評価。その中央値)を目指していた時期があった。ただ、そのときに求められていることは、実は違ったりもしていた」。その過去は、今に生きる。「自分の求められていることが何なのか。今は、きっちり考えて野球に取り組めていると思っています」。今夏で30歳。ファームでは若手にプロ生活の経験を伝えるシーンも多く見られた。また、同じく一塁でノックを受ける新助っ人のロドリゲスに日本語を教えたり、カットプレーで右翼を守っていたジョーンズの送球を受けて「ナイス、ジョンジー!」と盛り上げもした。「自分にできることがあれば進んでやる。それがチームのためになれば良い」。フォア・ザ・チームの心を持つ。

まだまだ負けられない。「まずは試合に出て、チームの勝ちに貢献したい。本気で、勝ちたい思いが強いんです」。一塁、三塁の守備固めに、勝負どころでの代打起用。もちろん、スタメン起用も。欠かせない存在がスタンバイしている。

求められた場所で、最善の結果が出せるように-。使い勝手の良い「超ユーティリティープレーヤー」が、勝利へのピースとなる。【オリックス担当=真柴健】

ナインとヒジでエアタッチする白崎(2020年5月27日撮影)
ナインとヒジでエアタッチする白崎(2020年5月27日撮影)