<ソフトバンク8-0楽天>◇12日◇ペイペイドーム 

「お祭り」はフィナーレに近づくほどボルテージが上がってくるものだ。「鷹の祭典 2021」と銘打ったオリックス、楽天との前半戦最終6連戦。ソフトバンクが3連勝を飾った。初戦こそ首位オリックスに黒星を喫したが、その後は白星を3つ重ねて貯金2とした。約1カ月のオリンピック(五輪)中断を挟むが、これでチームの「借金ターン」はなくなった。

低調打線が生まれ変わったようである。なかなか「打開策」を見いだせなかったホークスベンチも積極的な若手起用で風向きを変えた。3回に2戦連続のタイムリーを放った3年目の野村もヒーローのお立ち台に上がった。「打席に入るときは毎回、足が震えています」。何とも初々しくインタビューに答えていたが、「結果」を残せば生き残れる。こう言っちゃなんだが首脳陣も予想外の活躍だったのではないだろうか。王球団会長の母校・早実の後輩。新人ドラフトで清宮(現日本ハム)は取り逃したものの、1年後輩の野村がさらに成長してくれれば、王会長もうれしいはずだ。早実入学の1年春から4番に座り、高校通算60発を超えるアーチを放った。「勝負強い打撃をアピールしたい」。後半戦もリーグVを目指すチームの「戦力」であり続けるつもりだ。

「なかなか、打線がですね…。何とか最終6連戦で勝率5割は確保したいと思っているんですが…」。10日のオリックス戦で辛勝。ペイペイドーム内で、ばったり出くわした後藤球団社長兼オーナー代行は、厳しい顔つきで話していたが、この3連勝で不安も少しは解消されたかもしれない。

とは言え、浮かれているわけにもいかない。五輪中断の約1カ月の期間でチーム状況をどう好転させていくか-。柳田、千賀、甲斐、栗原の主力は日の丸を背負ってチームを離れる。前半戦で見えた「課題」をしっかり克服しなければならない。戦いの形を整える大事な時間となる。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

ソフトバンク対楽天 笑顔でヒーローインタビューに答える野村(撮影・岩下翔太)
ソフトバンク対楽天 笑顔でヒーローインタビューに答える野村(撮影・岩下翔太)