<ソフトバンク2-2日本ハム>◇21日◇ペイペイドーム

今季限りでバットを置くソフトバンク長谷川の引退の花道を、白星で飾ることはできなかった。ましてや、今季の本拠地最終戦。さらに、わずかながらも3位の可能性があるだけにチームとしては「必勝」を誓った一戦だった。2点リードの9回に同点に追いつかれたとき、一塁ベンチはぼうぜんとなった。やはり勝負の世界。終わってみなければ分からない。ホークスにとって21度目の引き分け試合。低迷した今季を象徴するようなゲームでもあった。

この試合はソフトバンク工藤監督VS日本ハム栗山監督の「最後の一戦」でもあった。ともに今季限りでユニホームを脱ぐ。序盤の息詰まる投手戦、終盤の攻防…。ここ数年はBクラスに低迷した日本ハムだが、工藤監督が就任した当初は「好敵手」だった。リーグ3連覇を狙った16年には日本ハムに11・5ゲーム差を大逆転され、優勝をさらわれた。機動性を武器にスキのない野球は、ホークスにとって脅威でもあった。

工藤、栗山両監督がタクトを振り合った最後のゲームが引き分けというも何とも因縁めいている。栗山ハムも戦っている以上、負けられないのだ。栗山監督は日本ハムファンが陣取る左翼スタンドへのあいさつを終えると、一塁ベンチ前で待つ工藤監督と握手を交わした。

残念だったのは2チームが「Bクラス」の中で、最後の一戦を迎えたことだ。激烈なV争いを見たかった。試合後、栗山監督はホークス担当記者のいるワーキングルームにやってきた。「今季はこんな戦いで、申し訳ありませんでした」。帽子を取って深々と頭を下げ、ペイペイドームを後にした。去りゆく将の姿は、すがすがしかった。【ソフトバンク担当 佐竹英治】