思い切った変更には強い覚悟がにじむ。巨人北村拓己内野手(27)が落合博満氏をほうふつとさせる神主打法でバットを振っている。

脱力しながら、バットを立てる。ゆったりとした構えから、軸足に体重を乗せ、引きつけてボールを捉える。2月のキャンプから打撃フォームを改造。その姿は3冠王を3度獲得した大打者に重なる。

北村は言う。「周りからは言われるんですけどね。落合さんって。でも自然と今の形になったんですよ」。実際に映像などで参考にしたわけではない。石井昭男巡回打撃コーチのアドバイスも受け、結果的にたどり着いた。石井コーチからも「自分の免許を持てよ」と繰り返し、強調される。それぞれに合った形がある。“北村流”のスタイルを築いていこうというメッセージだ。

打席での意識は、独特の言い回しで表現する。「おかしいかもしれないですけど、あえて構えないように」。とにかく力を抜くことだけに集中。「カチッと構えると力が入ってしまうので。打ちにいくというより、自然に反応して打つ」。これまで力んでしまい、打てる球のミスショットもあった。その反省を生かす模索だ。究極の脱力を追求し、引きつけて、反応で捉える。

17年ドラフト4位で入団。5年目の昨季は33試合で打率1割7分3厘だった。「もう年齢も年齢。腹をくくって。だからあえて思い切ったことをやっている。ダメならダメと覚悟を持ってやらないと」と決意がみなぎる。オープン戦では1度、1軍昇格を勝ち取ったが、今は2軍で再びアピールが求められる立場。殻を突き破る6年目とする。【巨人担当=上田悠太】