残り5試合となった広島の戦いで、ひそかに注目していることがある。それは「9番・上本」「9番・堂林」の起用はあるか、だ。


何を言っているんだと思われるかもしれないが、上本と堂林は今季ここまで1番から8番までの打順で先発出場している。


今季オリックスの中川が記録し、昨季は新庄監督率いる日本ハムで6選手が全打順出場となっている。全打席出場は指名打者制のパ・リーグでは珍しくないのかもしれないが、投手も打席に立つセ・リーグでは野手が9番起用されることはあまりない。記録部に調べてもらったところ、セ・リーグでは72年の船田(ヤクルト)がただ1人記録しているだけだった。上本か、堂林が9番で先発出場すると、セ・リーグでは史上2人目、51年ぶりということになる。


堂林に当ててみると、「そうなんですか?」と驚きつつ、記録には「打てるように頑張ります」と笑うだけだった。そりゃあ、そうだ。チームは今、CSファーストステージを本拠地で迎えるため2位争いの真っただ中にいる。チームの勝利が最優先。23日巨人戦では復帰した上本は2番で先発出場し、2安打。堂林も今季8つめの打順となる4番で先制弾を放つなど2安打2打点の働き。任された打順で結果を残すからこそ、8つの打順を任されたのだと痛感した。


広島ファンも願う本拠地でのCS開催へ、2人はこれからもチームのために身を粉にして戦う。それは変わらない。5年ぶりCS出場、球団初のファーストステージ本拠地開催が今の最重要課題だ。ただ、1日でも早く順位を確定させられれば、51年ぶりの記録が生まれるんじゃないかとどこかで期待もしている。【広島担当 前原淳】

9月23日、巨人対広島 2回表広島無死、堂林は右中間に先制ソロ本塁打を放ち、手を上げて三塁を回る
9月23日、巨人対広島 2回表広島無死、堂林は右中間に先制ソロ本塁打を放ち、手を上げて三塁を回る