“わが子”を見つめるようなまなざしだった。3月13日、中日とのオープン戦(ベルーナドーム)を前に、西武十亀剣スカウト(36)は、外野で練習中のドラフト1位ルーキーの武内夏暉投手(22=国学院大)の姿を目で追い続けた。

「今日は初めて、武内がベルーナドームで投げるので、直接球場で見たいなと思いまして。とにかく、自分のピッチングをしてもらえればと思います」

投手陣が外野でウオーミングアップ中だった午前9時、十亀スカウトは熱視線を送りながら、ドラフトを思い返した。スカウト1年目から1位指名の選手を担当。「本当に巡り合わせなんですけど」と前置きした上で「幸せなことですよね」とかみしめた。

1軍の試合前練習を見届けた後は、隣接する2軍のカーミニークフィールドへと移動。ファーム首脳陣、選手、スタッフらと会話するとともに新人選手の現状などもチェックし、試合開始前に再びベルーナドームに戻った。

オープン戦初登板初先発の武内は、4回を1安打無失点5奪三振と快投した。十亀スカウトは「ナイスピッチングでしたね」と評価した後、再び“親”の顔に戻った。「とにかく、ケガには気をつけてほしいです」。自身も11年ドラフト1位で西武に入団。“ドラ1”の期待も重圧も知るだけにコンディション面を気遣った。【遊軍=久保賢吾】

力投する西武武内夏暉(2024年3月撮影)
力投する西武武内夏暉(2024年3月撮影)