17日のドラフト会議に向け、指名候補をラストスパートで紹介する。第8回はJFE東日本の本田健一郎投手(23=武蔵大)。

ドラフトファイル:本田健一郎
ドラフトファイル:本田健一郎

「プロで活躍できる投手になる」。JFE東日本へ入社した本田は、野球ノートの1ページ目にそう書いた。

信念を秘め、力強く道を切り開いてきた。日大鶴ケ丘では2番手投手。進学した武蔵大も当時は首都大学野球2部。専門のコーチもいなかった。「目標を達成するには自分で考えてやるしかない」と自由に練習できる環境を成長の糧にした。

1年時は「サイドスローで145キロを出したらプロの目に留まる」と目標を立てるも、球速が上がらず。2年春のリーグ戦が終わると、自身の判断でスリークオーターに転向した。1カ月の練習休みを利用し、バーベキュー施設でアルバイトをしながら自宅近くのジムでトレーニング。SNSを駆使し、ダルビッシュ、大谷のトレーニング法を調べてメニューを組んだ。

この1カ月で球速が150キロまでアップした。直球の質も上がり、空振りが取れるようになった。秋からはエースとしてチームをけん引。大卒プロ入りは果たせなかったが目標を高く立て直し、JFE東日本での野球に人生をかけた。

1年目は腰と肘を痛めて出遅れたが、それが功を奏した。真っすぐの力が落ちる中、シンカーで打ち取る術を身に付けた。下半身を鍛え、ケガが完治するとフォームも安定。2年目の今年はキレのある直球にスライダーも武器に加え、都市対抗優勝に貢献した。落合成紀監督から「都市対抗の陰のMVP」と認められるまでに成長を遂げた。

好きな言葉は「変化を怖がらない」。開拓してきた歩みに重ねた。「上を目指すために。信念を持って、試しながら変わってきた」と努力でつかんだチャンスに自信をみせる。大きな目標をかなえて、もっと大きく変わるときが来る。(つづく)【保坂淑子】