開幕ダッシュに成功した時の楽天はすべてがうまくかみ合ってましたね。打線がつながり、投手陣はリードを守って後ろへつなぐ。理想的な戦いからシーズンに入れたと思います。

8月、ソフトバンク戦を完封勝利で6勝目の楽天涌井は「6」のポーズを決める
8月、ソフトバンク戦を完封勝利で6勝目の楽天涌井は「6」のポーズを決める

その時に比べると、今は投手陣がバタバタしている感は否めませんね。涌井は素晴らしいピッチングを続けてきましたが、連勝は止まりました。ここまで引っ張ってきたので、今度は則本昂たちが代わりに先発陣をけん引したいところですが、手の負傷で計算通りにはいきません。則本昂、塩見、弓削、さらに先発に転向した松井と、思ったように勝ち星が伸びていないのが現状です。

開幕当初は森原、ブセニッツの中継ぎ陣が安定していたんですが、森原が離脱してから中継ぎ陣がバタバタするようになり、8月は逆転負けで落とす試合が目につくようになりました。

ただ、楽天は投手陣を立て直せば、まだまだチーム力はあるとみています。先発陣を整備して宋家豪、ブセニッツ、シャギワへの継投がはまり、この3枚がしっかり役目を果たせば、逆転優勝も十分にあります。打線はまだ健在です。辰己、田中、岡島のバッティングが上り調子だということも、好材料です。

チーム打率が2割6分3厘、得点348はリーグトップ。本塁打もソフトバンクに次いで打っています。かたやチーム防御率は4・39でリーグ5位。失点325はリーグ最下位。つまり、データにも投手陣の整備が課題として明確に出ています。そして、則本昂のケガというアクシデントもありますが、選手はいます。あとは、三木監督ら首脳陣の起用法でソフトバンク、ロッテを射程圏内に捉えることは十分に可能だと言えます。

開幕前の私の順位予想は楽天の優勝でした。それは、これだけ補強したんだから、去年の3位より順位を上げないとファンの皆さんも納得しないでしょ、という切り口でした。となれば2位か、優勝しかないわけで、優勝の対抗馬はソフトバンクでしたが、けが人が多いイメージが強かったので、それなら楽天が優勝だな、と。いわば消去法で導き出した予想でした。

そんなイメージで予想したんですが、補強は見事にはまったと言えます。涌井、鈴木大が投打でキャプテンシーを発揮しました。これは見えない部分なんですが、新しい血がチームを活性化させたことが、開幕ダッシュでの理想的な戦い方につながったと言えます。

パ・リーグのここまでの各チームの戦いを振り返りつつ、終盤戦への展望に触れました。パは2チームに変更になりましたが、CSがあります。特殊シーズンになりましたが、ここからCS出場権を巡る戦いは、例年と同じように、いや、こんな年だからこそ、今までにないくらい激しく燃えてほしいと思います。(明日からセ・リーグ編へ)

里崎智也氏
里崎智也氏

◆YouTuber里崎氏の「里崎チャンネル」(登録数約35万人=6日現在)は「消化試合になるチームとは!?」と題し、巨人1強のセ・リーグの現状をストレートに解説中。