ドロップアウトした高校球児の「受け皿」として始まったクラブチーム「BBCスカイホークス」。高校生の選手たちは、日本航空高校の通信制課程で高校卒業を目指しながら野球を続けている。ただ、現在活動中の26選手のうち、高校生は14人だけ。高卒の選手も増えている。

◆渡部順一朗外野手(高3)

神奈川出身。地元のシニアでプレー後、関東外の強豪私学に進む。だが、人間関係でうまくいかず、1年の10月に野球部をやめざるを得なくなった。寮も出て、学校の近くに住む親戚の家から通学。別の運動部に入り直したが「やっぱり、野球を続けたい」。スカイホークスを知り、2年の4月から移った。現在の目標は米国の独立リーグ。「独立リーグからステップアップしたい。甲子園には行けないけど、海外に行くために練習と勉強を続けています。このチームがなかったら野球は続けられなかった。今頃、悪い方向に進んでいたかも知れません」。

渡部順一朗外野手(高3)
渡部順一朗外野手(高3)

◆満保一平内野手(18)

3月に神奈川の白山高校を卒業。レギュラーで甲子園を目指していた。大学で野球を続けるつもりが、入試に失敗。「浪人してもお金がかかる。親の負担は大きい。それならば、ここで練習して、BCリーグか社会人を目指したい。ここがなかったら、選手は諦めて、専門学校でスポーツトレーナーを目指したかも知れません」。スカイホークスの受講料は、週3回のバイトでまかなっている。

チームの基本方針は「来る者は拒まず」。今は休会中だが、ドミニカ共和国出身の選手もいる。また、障がいがありながらプレーする選手もいる。

満保一平内野手(18)
満保一平内野手(18)

◆綿引智哉外野手(29)

聴覚に障がいがある。中3まで軟式でプレー。21歳から硬式を始めた。手話で話してくれるチームメートもいたが、指導者とあわなくなり、やめた。新しいチームを探したが「耳のことで断られました」。昨年12月、スカイホークスは受け入れてくれた。「うまくない選手でも協力しあう。楽しいです。ここで練習を積んで、前いたチームに戻りたい」と、仕事をしながら練習に通っている。

綿引智哉外野手(29)
綿引智哉外野手(29)

三者三様の思いを抱き、スカイホークスの門をたたいた。それぞれ目標が、はっきりしている。甲子園や都市対抗といった日本一を目指す機会はなくても、日々の練習で力をつけ、主に大学生相手のオープン戦で成果を出し、目標に近づくことが大きなモチベーションになっている。大学野球部、社会人チーム、独立リーグ、海外など進路先は多岐にわたる。そして、創設8年目、ついにNPBのプロ野球選手が誕生するかも知れない。【古川真弥】