この時期の練習試合は当然ともいえるが、巨人も日本ハムも若手中心のスタメンオーダーになった。その中で目についたのは、高卒でプロ入り2年目を迎える巨人中山だった。

第1打席こそセカンドゴロに倒れたが、その後の3打席には結果だけでなく“中身”もあった。第2打席の四球は、3点ビハインドの5回2死一塁からだった。長打を狙いたくなる状況からノースリー。そして真っすぐを見逃してストライクの後、低め変化球を見逃して四球を選んだ。

打者心理として「1球見逃したんだから、次は打っていいだろう」となりやすい。もちろんバッティングチャンスであり、間違いではない。しかし、この状況で雑なバッティングをする打者は多いが、中山は低めのストライクからボールゾーンになる変化球に対し、打ちにいきながらもしっかりとバットは止まっていた。

次の第3打席は、1点を追う7回無死一塁だった。同じようにスリーボールから1球、見逃して次球の外角の真っすぐを左翼線へ二塁打。狙い球を絞って積極的に打っていた。

若い選手がレギュラーになるためには、それぞれの段階がある。今試合で日本ハムの打者は積極果敢に打ちにいけていたが、見方を変えると「なんでもかんでも打っている」ようにも見えた。巨人は変化球が気になって真っすぐにバットが出てこなくなった打者や、狙い球を絞れずに打たなくてもいい球を凡打する選手が多かった。

難しいのは「積極的」を「強引になっていい」とイコールに考えないこと。そして「考える」ことで慎重になりすぎ「消極的」にならないこと。このバランスがとても大事で、これができている選手は間違いなく伸びてくる。これが中山に感じた資質だった。

第4打席はセンターオーバーの二塁打。文句なしの会心の当たりだったが、もっともっと体を大きくし、強い打球を打てるように成長してもらいたい。ショートの守備も大事にいきたいからなのか、送球が弱いからなのか分からなかったが、もう少し深く守れるようになってほしい。この先、何年もレギュラーを張っていけるような選手になれる資質は十分に備わっている。(日刊スポーツ評論家)

巨人対日本ハム 9回裏巨人無死一、二塁、中越え2点適時二塁打を放つ中山。後方中央は新庄監督(撮影・河田真司)
巨人対日本ハム 9回裏巨人無死一、二塁、中越え2点適時二塁打を放つ中山。後方中央は新庄監督(撮影・河田真司)