今年のセンバツ大会では、タイブレークの開始がこれまでの延長13回から同10回に変更された。現地取材(25~27日)の中でぜひ、生でタイブレークを見たかったが、雨天順延もありその機会はなかった。

テレビで見ていた21日の仙台育英-慶応(2回戦)では、延長10回、先攻慶応が犠打で1死二、三塁。仙台育英の守備に注目した。通常の守備位置。内野ゴロでの1失点はやむなしという判断に映った。結果、打者は死球で1死満塁。すると今度は前進守備。つまり1点もやらない守備陣形と解釈した。この違いはどこにあるのか? 後攻側の守備にもある種の戦略性を感じ、推察した。

1死二、三塁での通常守備では、二塁走者は大きなリードは取れない。一方、前進守備ならけん制はなく大きくリードできて、単打で2点の可能性が高まる。通常守備で2者生還を阻止する狙いが見えた。

では、満塁での前進守備はどうか。打球次第でホームゲッツーの可能性が出てくる。半面、単打でも2失点のリスクはある。塁が埋まったことで併殺を視野に入れ、より積極的な守備陣形と理解した。慶応は適時打が出ず無得点。その裏、仙台育英は珍しいレフトゴロはあったがサヨナラ勝ち。

タイブレークについては、どの学校も暗中模索の印象がある。昨春センバツの山梨学院は、外野手を投手横に置くバントシフトで、攻撃側に重圧をかける守備面での作戦も光った。

29日の報徳学園との準々決勝で、仙台育英は再びタイブレークを戦い、後攻の報徳学園に逆転サヨナラを許した。もっと数多くの場面を見たいが、現状では後攻が勝利している。先攻の1点はやむなし、何とか2点目を阻止する後攻側の守り方はひとつの着目点になるのではと感じた。(日刊スポーツ評論家)