球児たちの暑い、熱い夏が近づいてきた。第107回全国高校野球選手権大会(8月5日開幕、甲子園)の出場を懸けた各地方大会の本格化を前に、日刊スポーツでは独自に選んだ「ピカイチ選手」を全4回にわたって紹介する。第1回の投手編では金足農(秋田)のエース吉田大輝投手(3年)にスポットを当てる。昨夏は兄の吉田輝星投手(現オリックス)以来となる6年ぶりの甲子園出場も初戦敗退に終わった。最後の夏は、兄が果たせなかった全国制覇を目指す。
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18年夏、「カナノウ旋風」に沸く聖地のスタンドにいた小学5年生の吉田にとって、決勝戦での兄輝星の粘投は自然と涙が頬を伝うほど、心が動いた瞬間だった。「兄を超えたい」という決意を胸に兄と同じ金足農の門をたたき約2年4カ月。最速146キロの力強い直球と、スライダー、フォークなど多彩な変化球を武器に最後の夏を迎える。
敗戦を糧に聖地へ戻る。昨年夏の秋田大会では2完封含む4試合で完投勝利し、甲子園へ。初めての大舞台では1回戦の西日本短大付戦で先発し、7回9安打5失点で初戦敗退した。「このままではいけないということに気付かされた。自分が変われた一番のタイミングだった」。追い込んでからの決め球が高めに浮いてしまう-。原因となっていたフォームのブレを修正するべく、体を絞るためウエートトレーニングに注力。昨夏から筋肉量増減の指標となる除脂肪体重は4・3キロ増。筋肉量が増えたことで「以前より体の軸がしっかりして、安定したフォームで投球できるようになった。下半身の粘りにもつながっている」と、制球力の向上につながった。
今月18日、金足農の新グラウンド完成を記念した招待試合で、大阪桐蔭と対戦。チームにとっては、兄が大敗した7年前の夏の甲子園大会決勝以来となる再戦だった。6回8安打5失点で降板。「正直思うような結果が残せていない」と不安を口にしつつも「変化球も含めて低めに入っている時は見逃しを取れたり、制球が良ければ通用する。配球面の緩急を、余裕を持って研究していきたい」と全国トップレベルの強豪との対戦で収穫もあった。
兄は現在、右肘のトミー・ジョン手術を終え、リハビリに励む日々。最近は連絡が途絶えがちだが「来なかったら自分から連絡します」と、最後の夏へ向けエールを“おねだり”。「今年は輝星がけがをしている分、自分の年にしたい」と気合十分で「自分が誘って金足農に来てくれた仲間、一緒に頑張ってきた仲間にも、マウンドで恩返しをして甲子園出場を決めたい」。聖地へ、最後の旅が始まる。【高橋香奈】
◆吉田大輝(よしだ・たいき)2007年(平19)4月23日生まれ、秋田県潟上市出身。小学1年冬に天王ヴィクトリーズで野球を始め、天王中では軟式野球部と硬式のネオ・グリッターズでプレー。金足農では1年春からベンチ入りし23年秋季東北大会8強、昨年エースとして夏の甲子園出場に貢献した。兄はオリックス吉田輝星。178センチ、88キロ。右投げ右打ち。血液型はA型。
◆「人生かかってる」昨年春夏聖地登板 森陽樹
大阪桐蔭 プロ注目右腕の森陽樹(はるき)投手(3年)が2季ぶりの甲子園をたぐり寄せる。昨秋は近畿大会初戦で苦杯をなめ、今春センバツは大阪勢98年ぶりの選出0。春は大阪を制したものの、近畿大会の東洋大姫路(兵庫)戦でコールド負けし、森も救援登板で3失点した。「人生がかかってるぐらいの気持ちでどれだけやれるか」と夏への思いは強い。昨年春夏ともに登板した甲子園を目指して腕を振る。
◆先輩たちと「プロ」の約束」左側153キロ右腕 藤川敦也
延岡学園(宮崎) 最速153キロ右腕の藤川敦也投手(3年)は「自分の球速、球の質で試合の流れを引き寄せたい」と、12年ぶりの甲子園出場に燃える。入学直後、右肘を痛めたが、5カ月のリハビリの間に筋肉量を増やし、指先の感覚を磨き球速アップ。昨夏の宮崎大会は準々決勝で先発も敗戦。「甲子園に行ってプロへ行く」と先輩たちと交わした約束を果たす。











