■バスケファン視点クリスさん

WBCは他スポーツのファンからは、どう見られているのか。YouTubeチャンネル「クリスのバスケ日記」でNBAやBリーグなどバスケットボール情報を発信し、TikTokでは約37万フォロワーを抱えるインフルエンサーのクリスさん(27)が、WBCとドジャース大谷翔平投手(31)について熱く語った。大谷は、あの「神様」のようだという。バスケファンならではの視点がある。

「クリスのバスケ日記」を手がけるバスケインフルエンサー・クリスさん
「クリスのバスケ日記」を手がけるバスケインフルエンサー・クリスさん

大谷は神様になる。クリスさんは、大谷を巡る今をこう見ている。

「野球の世界でジョーダンが、神様が生まれようとしてる瞬間だなと思います」

バスケットボールの神様マイケル・ジョーダンになぞらえた。バスケを見ない人でもジョーダンは知っているように、野球を見ない人でも大谷は知っている。競技やスポーツの枠組みを超えた、時代を象徴する存在になっている。もっとも、知名度だけでジョーダンは「神様」になったわけではない。大会のあり方自体を変えたことが大きかった。どういうことか。野球におけるWBCは、バスケにおける五輪だとして、こう解説した。

「元々バスケのオリンピックはプロ選手、NBA選手が出てはいけない時代があって。マイケル・ジョーダンというスターの出現で潮目が変わってプロも五輪に出ようという風になり、そこからバスケが世界的スポーツになったという背景がありました」

ジョーダン自身も84年ロス五輪、92年バルセロナ五輪でドリームチームの一員としてプレー。2つの金メダルを米国にもたらした。その姿に、前回23年のWBCで投打に活躍し、日本に3大会ぶりの世界一をもたらした大谷が重なる。そして、大谷の姿は多くのメジャーリーガーを刺激した。今回は次々と一流選手たちが参加を表明。また野球になじみがなかった国でも、大谷を知る人が増えている。野球も世界的なスポーツへと脱皮しつつある。だから大谷は神様になり得る。

言うまでもなく、野球の本場での注目度は高い。

「NBA選手でもたくさんの選手が大谷選手を認めてます。アメリカって常にスポーツを見るカルチャーがある。NFL(アメフト)、アイスホッケー、NBA、MLBとシーズンごとにいろいろなスポーツを適度に見るファン層が日本に比べて多いんですよ。4大スポーツをぐるぐる回って、熱い時期をかいつまんで楽しむみたいな」

特にバスケは野球とシーズンが正反対なので好相性。オフに大谷や山本が同じロサンゼルスを拠点とするレイカーズの試合を見に行ったり、反対にNBAのトップ選手が大谷をたたえたり。昨年のポストシーズンでの大谷の活躍を、NBA現役最高選手といわれるレブロン・ジェームズが、自らのポッドキャストで「あのパフォーマンス見たか? あれやばいぜ。いかれてる。バスケでは考えられない」と称賛したという。

日本では1番人気ともいえる野球だが、米国の4大スポーツでは、NFL、NBAに続く存在。それすら、大谷は変えようとしている。

「1人の圧倒的なスーパースターがこうも時代を変えてしまうかというような感覚で。かつ日本人の大谷翔平がそれをしようとしている。だからこそもっとすごいんだと思います。認めざるを得ない。才能と実力、努力とチームへの貢献度であらゆることを乗り越えてしまっているような。難易度はジョーダン以上なんじゃないかなと思って見てます」

他競技に造詣が深いクリスさんだから分かる大谷のすごさ。24年にはドジャースの試合を現地観戦し、大谷のホームランも目撃した。バスケと異なる観戦体験を楽しんだ。

「バスケは2時間でスコアが100対100くらい。だから見逃せないんですよ。野球がいいなと思ったのはずっと目を凝らしてみる必要がないラフさ。攻撃終わったら売店行ったりしてフードを食べながら緩く楽しめる。バスケが楽しいのは大前提ですけど、別の種類の体験としてすごくいいなと。ぜひバスケファンの方にも行ってみてほしいなと思います」

最後に、もう1度、神様を引き合いに強調した。

「サッカーで言うと、メッシが神様になろうとしてるのを見られる瞬間ですから。ジョーダンもしかり、今野球で同じような現象が起き始めていて、それが大谷翔平の時代なんです。それを見逃していいの? もったいないよ? と」

世界一連覇で、大谷翔平はマイケル・ジョーダンになれるのか。野球の神様になれるのか。見逃せない。【小早川宗一郎】

◆クリス 1998年生まれ。神奈川県出身のクリエーター、インフルエンサー。「クリスのバスケ日記」というYouTubeチャンネル、TikTokアカウントなどでバスケットボール情報を発信。YouTubeは登録者10万人超、TikTokは約37万フォロワー。