球界では平成30年の間にさまざまな記録が生まれました。日刊スポーツでは連載「野球の国から」の中で、平成の記録を不定期でひもときます。今回は27日に開幕した平成最後の日本シリーズの見どころ、日本一にまつわる記録を振り返ります。

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平成最後の日本シリーズは広島とソフトバンクの対戦になった。両チームはシリーズ初顔合わせ。広島が優勝すれば84年以来、34年ぶり4度目の日本一。現12球団のうち、広島と阪神は平成に日本一がない。広島は12球団で最も日本一から遠ざかっている。

広島Vならパ・リーグ隆盛の流れにストップをかける。最近のシリーズは13年楽天からパのチームが5連覇中。セ・リーグは王、長嶋らを擁した巨人だけで65~73年に9連覇しているが、パは現在継続中の5連覇が最長だ。

パは昭和のシリーズ39度を16勝23敗と負け越すも、平成の29度は17勝12敗と形勢逆転。特に過去15年は12勝3敗と一方的になった。05年に始まった交流戦でもパは開催14度のうち13度を勝ち越し、圧倒している。中でも躍進が目立つソフトバンクが今回優勝なら、巨人の6度を抜いて平成単独最多の7度目Vとなる。

平成の特徴として、公式戦優勝以外のチームが2度日本一になっている。07年にクライマックスシリーズ(CS)がスタート。07年中日は公式戦2位、10年ロッテは同3位から頂点に立った。ロッテは公式戦の残り3戦3勝で3位に滑り込み、西武とのCSファーストステージを2試合連続延長勝ち。ソフトバンクとのファイナルステージは1勝3敗(アドバンテージ含む)から3連勝でシリーズ切符をつかむ「下克上」だった。今季公式戦2位のソフトバンクはどうか。

個人記録に目を向けると、昭和との違いは投手の大車輪が減った。58年稲尾(西鉄)59年杉浦(南海)のような4連投4連勝は今や見られない。平成の先発起用3度は91年佐々岡(広島)92年岡林(ヤクルト)の2人だけ。岡林は対西武<1>戦12回完投○→中4日→<4>戦8回完投●→中3日→<7>戦10回完投●の3完投だった。

ソフトバンクの前身、南海時代の64年にシリーズ最多の3完封をマークしたスタンカ氏が今月15日に亡くなった。3完封などはもう出ない記録だろう。昨年、抑えのサファテ(ソフトバンク)がMVPに選ばれたように継投重視の時代になった。完封投手は08年岸(西武=対巨人)が最後。投手1人の完封が9年も出ないのはシリーズ最長ブランクだが、今年は出るか。【織田健途】

64年10月、南海のスタンカ
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07年11月、日本シリーズで優勝し岩瀬に飛びかかる中村
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10年11月、日本シリーズを制覇し喜ぶロッテナイン
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日本一回数
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