現役時代の岩下修一氏(2003年9月7日撮影)
現役時代の岩下修一氏(2003年9月7日撮影)

もうすぐ6月です。プロ野球は交流戦の季節。そして6月2日もやってきます。

この日は岩下修一氏の誕生日です。普段は阪神について行動しているのでパ・リーグの試合はなかなか行けない。それもあって岩下氏と交流戦で会うのを楽しみにしています。

岩下修一って誰だ? そう思う方は多いでしょう。結構な野球ファンでないと分からない名前かも知れません。元野球選手、現在は日本ハムで打撃投手を務めている人物です。オリックス時代に知り合いました。

99年ドラフト4位でオリックスに入った岩下氏は救援左腕として活躍しましたが、プロ2年目の01年夏に急性骨髄性白血病にかかりました。当時は本当に驚きました。

しかし治療、リハビリを経て、02年に復帰。今年で46歳になる現在も裏方ではありますが元気にボールを投げ続けています。

そんな岩下氏と久しぶりに話したのが今年3月のオープン戦。甲子園での阪神-日本ハム戦でした。

当時は水泳の池江瑠璃子さんが白血病になり、苦しい治療を続けていることをSNSで明かしていた頃でした。

思わず岩下氏に「どう思う」と聞いてしまいました。岩下は真面目な顔でこんな話をしました。

「う~ん。正直、当時のことは忘れてたんですけど。今回のことであの治療のつらさを思い出しましたね。応援するというより、俺が頑張っている彼女から力をもらったような気がするんです」

経験した者にしか分からない感覚で岩下氏は話していました。

広島赤松真人(左)と阪神原口文仁
広島赤松真人(左)と阪神原口文仁

岩下氏だけではありません。阪神原口文仁選手、広島赤松真人選手と闘病している選手は他にもいます。

もっといえば病気だけではありません。いろいろな問題を抱えながら生きるためにプレーしているのは一般の人と同じです。陽の当たるスターが活躍しているだけがプロ野球ではありません。

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最近、いいトシをしてシンガー・ソングライターのあいみょんを聞いています。

昨年の紅白歌合戦に出場しましたし、その人気、名前は知っていましたが「名前からして、どうせ若者が聞く歌だろう」と思っていました。

しかし球場のBGMなどでかかっていて気になり、CDを借りて聞いてみました。いい曲だな、なんだか懐かしいなと思いました。

もっともよく聞くのは「君はロックを聴かない」です。

好きな女性が元気をなくしているとき、自分は好きだけれど、おそらく彼女はまったく興味がないと思われるロック音楽を聞かせて元気を出してもらおうとする男の子の歌です。

こんな説明では分からないかもしれませんが、一度、聞いてみてください。とても、いいものです。

この歌の主人公にとってのロックは我々には野球かな、と思います。

平成から令和に替わっても我々は野球を見ます。野球に接することは仕事ですが楽しみでもあります。さらにいろいろな悩みを克服する助けにもなってきました。

交流戦が始まります。野球に興味のない人は、野球なんか見ないと思うけれど、人生をかけた男たちの懸命なプレーで何かを感じてほしい。そして野球好きがなぜ世の中に多いかを少しでも分かってほしい。季節外れの暑さの中、そんなことを思っています。