球界のお祭り・球宴が終わりました。交流戦もある今、「不要論」も一部にあるようですが、福岡も松山も多くの野球ファンが入って盛り上がったのを見るとやはり恒例行事として残すべきものか、と感じます。そこで思うのは「いつかは沖縄で球宴開催を」ということです。

先週、阪神が2軍の春季キャンプ地を沖縄・うるま市に移すと発表しました。これで1、2軍とも2月のキャンプは沖縄での開催。思い出すのは闘将・星野仙一さんのことです。

「沖縄は日本のフロリダやぞ! 球界はどれだけ沖縄に世話になってるんや!」。いつもそんな話をしていた星野さん。阪神監督に就任してからも中日監督時代に慣れ親しんだ沖縄でのキャンプをと願い、就任2年目の03年には宜野座キャンプを実現させたのです。

その年に阪神悲願のセ・リーグ制覇をもたらし、監督を勇退した星野さんは翌04年からはオーナー付きシニアディレクター(SD)に就任。その後もキャンプ地についていろいろな意見を示していたようです。

その中で「2軍も沖縄に」という意見もありました。当時から2軍の候補地として具体的に名前が上がっていたのは現在、楽天が春季キャンプを行う金武町(国頭郡)でした。そんな経緯もあり、星野さんも天国でうるま移設を喜んでいるかなと思い、当時の球団幹部に久しぶりに電話をしました。

「そうやな。でも星野さんはバランス感覚もあるし気を使う人だったから。安芸にキャンプがなくなるのはどうかなということも考えていたと思うよ」。そんな話でした。だからこそ当時からウワサされていた「ファーム沖縄移設」に阪神も時間をかけたのかと思っています。

いずれにしても日本球界にとって沖縄は重要な存在でしょう。だからこそキャンプだけでなく、公式戦ももっと行えばいいと思いますし、それこそいつかは球宴の計画も持ち上がってほしいと思います。

本土復帰50周年の今年、球界として特に行事もなかったのは少し寂しい気がします。現在はコロナ禍があり、沖縄も苦しい状況が続きます。それでもいつかはそれも終わるはず。そのときに…。

球宴も終わり、29日から熱い戦いが再開する今、我々を楽しませてくれるプロ野球と、そこに大きな力をもたらす沖縄の地に思いをはせています。

阪神春季キャンプ グラウンドに座り込む阪神監督時代の星野仙一さん(2003年2月撮影)
阪神春季キャンプ グラウンドに座り込む阪神監督時代の星野仙一さん(2003年2月撮影)