<イースタンリーグ:日本ハム10-2DeNA>◇13日◇鎌ケ谷

捕手として現役21年間で通算出場試合1527。引退後はコーチとして4球団で計21年間(うち1年間は編成担当)、合わせて42年間をプロ野球で生きてきた田村藤夫氏(61)が、DeNA京山将弥投手(23)の伸び悩みの原因をズバリ指摘した。

   ◇   ◇   ◇   

以前から京山のことは気になっていた。150キロを超えるストレートがあり、変化球もフォーク、スライダー、カーブ、カットボール、チェンジアップと多彩。威力のあるボールがあるのに、1軍で勝てない。2年目に6勝を挙げてから、0勝、2勝、0勝。この日は先発して6回11安打4失点で負け投手。伸び悩んでいる理由の一端が見えた。


象徴的だったのは2回先頭、大田に対するピッチングだった。


1球目 外角低めのストレートがボール


2球目 やはりストレートが外角に外れて2ボール


3球目 外角を狙ったストレートが甘く入り中前打


打たれた球の球速は148キロ。スピードはあるのだが、簡単に打ち返された。打者有利のカウントでは、いくら球に力があっても分が悪い。この日、打者27人に対して初球ボールは11人、2ボールになったのは7人。この日に限らず、カウントを悪くし、ストライクを取りにいった球を痛打されるパターンが多い、と他球団の編成担当も話していた。

いいフォークを持っていて、1回には清宮、3回には中田から空振りの三振を奪っている。追い込めばかなりの確率で打ち取れるはずなのに、打者有利のカウントではあまりにも簡単に打たれてしまう。球自体は1軍で十分に通用するだけに、歯がゆい思いをしているのは、私だけではないはずだ。

では、どうすれば一皮むけるのか。技術的には、どんなカウントや状況でも簡単にストライクを取れる変化球を身につけることだ。それだけでピッチングの幅が広がる。そういう球が2種類あれば、結果はかなり違ってくるはずだ。京山の場合、外角のスライダーやカットボールで簡単にストライクを取れるように努力したらどうだろうか。

気持ちの問題だとしたら、「きれいに打ち取る必要はない」とアドバイスしたい。フォームもコントロールもまとまっているので、打者からみれば怖さやいやらしさはない。だから、ベース板の中だけで勝負するわけにもいかない。もっと内角を厳しく攻め、当たったらしょうがないという開き直りも必要だ。もし、私がマスクをかぶっていたら「オレが責任を取ってやるから恐れずに来い」と声をかける。

自信さえつけば、大きく飛躍できる可能性を秘めている。とにかく早く、きっかけをつかんで欲しい。投手陣の編成に苦しむDeNAの1軍首脳陣も同じ思いだろう。(日刊スポーツ評論家)