日本高野連は16日に第28回U18(18歳以下)ワールドカップ(9月1~10日、カナダ・サンダーベイ)に出場する高校日本代表の第1次候補30人を発表した。記者が担当する関東からは早実・清宮幸太郎内野手(3年)や日大三・桜井周斗投手(3年)らが選出。もちろんこの2人は高校屈指の選手だが、個人的には作新学院・鈴木萌斗外野手(3年)に注目する。

 身長182センチ、体重75キロ(センバツ時点)と細身だが、大化けする可能性を秘める。最大の武器は50メートル走5秒9の俊足。タイムなら、他校にも速い選手はいるだろうが、公式戦での盗塁失敗は1度もなし。元巨人の鈴木尚広のスライディングなども研究するが、大事にするのは「雰囲気」だという。けん制、クイックなどを分析し、自らの感性でスタートを切る。

 ハートの強さも兼ね備える。全国制覇を達成した昨夏の甲子園では途中出場し、3打数2安打3得点で勝利に貢献。今春のセンバツでも、1回戦の帝京五(愛媛)戦で1盗塁、2回戦の秀岳館(熊本)戦でも2盗塁を決めた。走攻守3拍子そろった巧打の外野手で、プロのスカウト陣も抜群の運動能力と野球センスを評価する。

 過去の国際大会を振り返っても、盗塁が流れを変えた歴史がある。13年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の台湾戦では1点ビハインドの9回2死一塁から、鳥谷(現阪神)が二盗。井端(現巨人コーチ)の適時打で同点のホームを踏んだ。一発勝負の国際大会では相手のデータも少なく、選手個々の武器が勝負を分ける。

 高校日本代表は、夏の地方大会や8月の全国高校野球選手権大会からも選考される予定。選手権決勝後に、最終メンバー20人が決定する。【久保賢吾】