「1番 センター近本」

先発メンバーを伝えるアナウンスに、沖縄セルラー那覇の三塁側から左翼のスタンドを埋めた阪神ファンがどっとわいた。

今月23日、春季キャンプも大詰めの祝日にオープン戦が始まった。沖縄ではシーズン開幕戦の前哨戦、巨人-阪神戦の好カード。阪神岡田監督は、6番・左翼の前川以外は昨年の日本シリーズとほぼ同じ先発メンバーを並べ、虎党を喜ばせた。一方の巨人は先発の戸郷ら選手個々の登場曲も流し、場内を盛り上げた。沖縄の野球ファンも、東京ドームの伝統の一戦の雰囲気を味わえたのではないか。一球一打への熱い反応を見ると、球春間近の思いが胸にあふれてくる。

実戦が本格化する3月は、侍ジャパンが欧州代表と戦う試合が6、7日と京セラドーム大阪で行われる。プロの旬のメンバーで構成するチームに、明大・宗山塁内野手(4年=広陵)や関大・金丸夢斗投手(同=神港橘)ら4人の大学生も名前を連ねた。初の日本代表に選ばれた金丸は、プロとの共闘を前に「いろんなことを吸収して、これからの成長に少しでもためになったらいいなと思っているので、いい時間を過ごしたいなと思います」と明かした。

神港橘時代は地元・兵庫では知られた存在でも、全国区の投手ではなかった。関大で成長し、初の代表を射止めた。今月14日の侍ジャパンメンバー発表時の会見で、全国的には無名の高校生の希望の星になるのではと問われ「いつ一気に成長するか、分からない。(高校生たちは)腐らずにやってほしいなと思います」と答えた。

「一気に成長」のチャンスが再び、金丸自身にも巡ってくる。現状では7日第2戦の先発が有力。振り向けば、阪神中野やヤクルト村上らが後ろにいる。リーグ戦とは全く違う環境で投げる。トッププロが醸し出す緊張感を経験したドラフト1位候補の変化を見るのが、待ち遠しい。【堀まどか】