「スポーツ紙としては政治記事も手厚い」と言われている日刊スポーツ…と、我田引水から始める。首相・安倍晋三の後継を決める自民党総裁選が告示されたことを伝える9日付の記事がなかなか面白かった。

官房長官・菅義偉の勝利が確実視されていることとは別に、元幹事長・石破茂と政調会長・岸田文雄の「2位争い」が重要だという見立てだ。

「安倍路線に否定的な石破氏ではなく岸田氏を2位に、という声がある。無役の石破氏に比べ、岸田氏は現職の政調会長。最下位なら石破氏以上にダメージは大きい」。同党関係者はそう指摘しているそうだ。一定の票数を取って2位に食い込めば今後に望みも出てくるということらしい。

阪神の話だ。一応、DeNAと2位争いをしている形になっているがこの日の戦いは、なんというか糸が切れたような内容になってしまった。犠飛で挙げた1点だけで打線は沈黙。終盤にはルーキー小川一平の連続暴投まで出ての完敗だ。

5回、バント安打したDeNA神里和毅の足が打席から出ていたことが認められないジャッジの不運はあったものの途中まで決してうまい攻めをしていたとは言えないDeNAにやられっぱなしで終わった。

前日8日は序盤の7点大量リードを守れず、引き分け。必勝を期して戦った前カードの巨人戦を1勝2敗と負け越した流れがそのまま出ている感じがする。もっと言えば戦いを続けるモチベーションを失ってしまっているのではないか、とさえ思ってしまう。

総裁選同様、セ・リーグのペナント争いの結果もほぼ見えている。しかし万が一、それで勝負への意欲がうせているのなら困ったものだ。モチベーションは常にあるはずだろう。指揮官・矢野燿大が言っていた“あれ”だ。そう「誰かを喜ばせる」ということだ。

クライマックスシリーズがない今季は「優勝しなければ何位でも同じ」である。そうは言ってもBクラスよりはAクラス、3位よりは2位の方が虎党はやはり手応えがあるだろうし、来季へ向けて期待も出てくる、と思っている。

あえて言えば神里のバントについては試合の流れを決める局面でもあったし、もっと強く抗議する姿勢を見せてもいいと思った。「勝敗は時の運」だが、勝つために戦う気力をなくしたようなチームの試合など誰も見たくない。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)