「よう勝ったでえ」という感じだろうか。バンテリンドームでの今季2勝目は悲願の優勝に向けて、大きな白星になったと思う。今季の阪神、何がいいといって連敗しないところがもっとも評価できる点だ。今季3連敗を喫したのは4月21日から23日までの1度だけ。首位を快走しているから当然といえば当然なのだが、これは相当な強みだ。

率直に言って現在は打線が絶好調という感じではない。この日も難敵の大野雄大の前に、売り出し中の2番中野拓夢から3番マルテ、4番大山悠輔まで安打がなかった。それでも佐藤輝明から下位打線でつないで懸命に2点を先制。先発青柳晃洋は1失点したが8回岩崎優、9回スアレスの勝ちパターンにつなぎ、1点差を守り切った。楽勝ではないだけに、より大きな勝利だろう。

もう1つ、意味があると思うのは、この中日戦が巨人との戦いを終えた直後の試合だったという点だ。若い虎党は知らないかもしれないが、かつて「巨人戦疲れ」という言葉が阪神にはささやかれたものだ。

「伝統の一戦」と注目される巨人戦。周囲も自分たちも気合の入る戦いの後はその結果にかかわらず、疲労が出るようで、うまく戦えないというものだ。

今季唯一の3連敗も“それ”だった。4月21、22日に東京ドームで巨人に連敗。その直後、23日に藤浪晋太郎が先発したDeNA戦(甲子園)に負けている。今季過去3度の「巨人戦後初戦」は4月9日DeNA戦(横浜)には勝ったものの5月18日ヤクルト戦(甲子園)は今季ワーストの14失点による敗戦だった。

3度で1勝2敗は今季ここまでのチーム成績と照らし合わせればよくないだろう。それもあって4度目のケースとなるこの試合に注目していた。苦しい展開だったが2-1での勝利。これで巨人戦後初戦は勝率5割となった。これは今後につながるはずだ。

「相手がどうであろうとタイガースの野球をやる、自分たちの野球は変わらないっていう強さ。それを身につける。その上で『打倒巨人』というプラスアルファを乗っけていきたい」

これまでにも書いてきたがこれが指揮官・矢野燿大は3年目の今季に向けて心に決めていることだ。そんな気構えで戦っていく巨人戦後の初戦だった。首脳陣、選手も心身とも疲れているだろうがしっかりと勝てたのは頼もしい。(敬称略)(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)