虎党は2週連続で意気消沈のスタートだ。先発西勇輝が6回途中、6失点でKO。先週21日の広島戦も5回5失点で交代している。「粘り切れないところは出てしまった感じはするけど。それが持ち味だし、やっていくしかない」。指揮官・矢野燿大はそう振り返ったが「火曜の先発」としては、少々、心配な感じだ。

それで思い出したのが今月13日のことだ。抑えの岩崎優が「リフレッシュ目的」で登録抹消され、体調を考慮する最近のマネジメントだなと感じたもの。しかし同じタイミングで中継ぎで投げていた藤浪晋太郎が抹消になったのは「なんで?」と思った。

「先発の調整をするためですよ。この先はそっちの方がチャンスがあると思うので」。球団関係者に確認するとそう言う。ブルペン陣もそろってきたので「先発投手の調整」のためのファーム行き。実際、その後、藤浪はウエスタンリーグの試合で先発している。

そのとき「現状、必要かな?」と思ったりした。阪神の先発陣は他球団に比べても充実していたし、このままでもいいのではと感じていたからだ。しかしユルいこちらと違って、プロは常に先を見ている。

「常に最悪のケースを想定しないとあかん」。そう言った知将・野村克也の言葉を借りるまでもなく、投手陣にバテがくる夏場に向け、次の先発投手を想定するのはプロなら当然だ。

この試合、1回に2点を挙げたものの4回以降は8回まで無安打で尻すぼみになった打線が大きな敗因だろう。それでも相手投手の立ち上がりにつけ込み、敵失もあって先制に成功すれば乗っていきたかった。

だが西勇は3回に桑原将志に2点適時打を許し、リードをはき出してしまうと5回にはソトに決勝弾を浴びる。「桑原選手にはよく打たれていますし、ソト選手もいい打者」と前日に話していたようだが、くしくもその2人に痛打される結果になってしまった。

同じく先発として頑張ってきたものの2戦連続でKOされた西純矢は27日に登録抹消されている。代わりに才木浩人が投げる方向だ。藤浪の名前を挙げたが他にも桐敷拓馬、村上頌樹といった投手も1軍先発の機会を狙っている。西勇は指揮官の信用も厚い投手だが、近い将来、ここでも新たな“競争”が生まれ、それがチーム浮上のカギとなれば…。そんなことを思った試合だった。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

DeNA対阪神 5回裏DeNA無死、西勇はソト(後方右)にソロ本塁打を許す(撮影・山崎安昭)
DeNA対阪神 5回裏DeNA無死、西勇はソト(後方右)にソロ本塁打を許す(撮影・山崎安昭)