少し胸が締めつけられるような気がした。7日は七夕。短冊に願いを書き、ササの葉に飾る。
この3連戦、甲子園は「夏のこどもまつり」。七夕でもあり、選手たちはそれぞれの願いを書いていた。そこで森下翔太が書いたものを見たときに感じたのだ。
「強くなれますように!!」。森下はそう書いていた。その1行で彼の置かれている現状が伝わってくる気がする。ルーキーだった昨年はいきなりリーグ優勝、日本一と1年目にしてプロ選手としての、絶頂を味わった。だが今季はなかなか絶好調とはいかない。
交流戦後の6月19日には指揮官・岡田彰布から異例の直接指導を受けた。アッパースイング気味でそこを矯正しようということのようだが、うまくいかない。ここ3試合はスタメンを外れ、5日広島戦では延長の守備から出場、その後にまわった打席は空振り三振に倒れていた。
その試合後、森下に懸命に話しかけていたのはヘッドコーチ・平田勝男だ。「高めのスイングはいいじゃないか」などと声をかけていた。だが登録抹消。「ファームで明日(7日)から試合に出て、力をつけるしかない。きょう、森下と話したよ。今は島田がいい仕事をしているし、豊田も野口もいる。(1軍で)試合に出ても代打とか守備固めとかだから。しっかりゲームに出て、力をつけて帰ってこいとね」。平田はそう説明したのである。
正直、森下にすれば、思うところもあるかもしれない。若いとは言え、自分の考え、信念もあるだろう。今季73試合に出場し、打率2割2分2厘はともかく6本塁打、30打点。打点はチームトップだ。開幕3戦目の巨人戦、東京ドームで1号3ランを放ち、チーム今季初勝利を呼んだのも森下の力だった。
だが起用するのは指揮官だ。勝利後、森下について問うと「(1軍に)おってものう…」。岡田はそう話した。抹消したのだから当然だが、現状、スタメン起用する気はなかったことを示した。
結果の出ない悔しさは当然、自分の考えを理解してもらえないもどかしさもあるかもしれない。だが、そんなこんなを飲み込んで結果で勝負するのが、この世界である。強くなりたい-。岡田だって好調の森下を待っているのだ。挫折を乗り越えて、技術面でも精神面でももっと強くなって帰ってこい。そう思う。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




