後味の悪い敗戦かもしれない。最後は判定にあまり文句を言わない中野拓夢が見送り三振に対し、あからさまに不満を示した。これについて指揮官・藤川球児は、9回最初の打者・渡辺諒の四球を巡って敵将・井上一樹が球審へ抗議に出たことが影響したのでは-と見たようだ。

球児の側に立てば、井上の様子を見て、そう受け取るのも無理はない。だが抗議の内容は「ストライクと手を上げたのでは?」という球審の動きに対するものだったよう。なかなか微妙な話だが、いずれにしても阪神は接戦を落とした。

佐藤輝明が1発を放ち、大山悠輔が2点適時二塁打と6回までに3安打で3得点。効率のいい攻めを見せたが同点の8回、ルーキー工藤泰成が耐えきれなかった。これは責められない。ブルペン陣は、いま、苦境を迎えているのだ。

桐敷拓馬が抹消されたばかり。振り返ればゲラ、漆原大晟、島本浩也ら1軍戦力だった救援陣がいない。この日は連投を避けたい湯浅京己をベンチから外していた。残っていた“勝ちパターン”は岩崎優、及川雅貴というところだろう。

何といっても今季は接戦が多い。2試合連続の延長戦を受けたこの日も7回まで同点。昇格してきた椎葉剛、木下里都という経験の浅い面々を起用するのも簡単ではないだろう。

今季、ここまで45試合を戦って4点差以上をつけられて負けた試合は1つだけだ。4月1日のDeNA戦(京セラドーム大阪)で、先発・才木浩人が4失点した後を伊原陵人、工藤泰成、そして石黒佑弥とつないだゲームだった。

言い方を変えれば、ほとんどの試合が接戦なのだ。「勝てるかも」「勝ちにいくぞ」というパターンで戦っている。プロなら当然と言えば当然だが、長いシーズンには「今日はさすがに…」という試合も出てくる。そういうときに新戦力を試すのが一般的だが、それがなかなかできない。

そこに加え、阪神は首位を走り、さらにペナントレース自体、まれに見るだんご状態が続く。一瞬たりとも気を抜けない状況と言えるのである。

「(工藤は)経験していくしかないというかチャンスでもあったというところですね。全部(の試合)同じ投手というのは無理ですから。みんな失敗しながら、です」。球児もこの状況をそう表現した。しのぎどころだ。(敬称略)

中日対阪神 9回表阪神無死一、二塁、選手交代を告げる藤川監督(撮影・前田充)
中日対阪神 9回表阪神無死一、二塁、選手交代を告げる藤川監督(撮影・前田充)