県大会初出場の駿河総合が、プロ注目右腕の杉山一樹投手(3年)の投打にわたる活躍で、三島北との初出場対決を7回コールド勝ちで制した。杉山一は直球主体の投球で初回から相手打線を翻弄(ほんろう)し、6回を無安打無得点に抑えた。打っても6点をリードして迎えた6回2死一、二塁から高校初となる左翼越え3点本塁打を放った。2回戦は夏のシード権をかけて西部地区準優勝の横須賀と対戦する。

 背番号1の杉山一がマウンドで躍動した。6回を無安打無得点に抑え、駿河総合初の“春1勝”に大きく貢献。7回は交代したためノーヒットノーランとはならなかったが、エースらしい投球だった。「コントロールを意識して、6割ぐらいの力で投げた。その部分では良かったと思います」と、1四球の内容にうなずいた。

 序盤から191センチの長身を生かした角度のある直球を低めに集め、凡打の山を築いた。打者21人に投じた79球中、変化球はわずか3球。最速145キロを誇る“全力投球”は封印したものの、許した走者は四球と失策の4人だけ。杉山一は「手応えを感じられた」。望月俊治監督(49)も「いつもは力んで四球を出すが、今日はコントロールを重視して投げてくれた。先発投手としての自覚を持ち始めてくれたのかな」と目を細めた。

 杉山一は中学時代は外野を守っていたが、高校入学と同時に小学校以来の投手に復帰。昨年の秋季大会では、吉田幸晟投手(3年)らの存在もあり主に控え投手だった。今大会から背番号1を背負うが、まだまだ発展途上。それでも、プロ複数球団のスカウトがマークする逸材だ。杉山一は「もっと重心を低くして投げられるようにならないといけないし、思い切り投げた時のコントロールもまだまだ。完璧には程遠いです」と、さらなる成長を目指していく。

 2回戦は横須賀と対戦する。この日、6回には2死一、二塁から左翼越えの高校初本塁打を放つなど、投打ともに手応えは十分だ。杉山一は「目標は優勝。まずは、その前にシード権を取りたい。自分の力を全部出し切りたい」と頼もしい言葉を並べた。大器の片りんを見せ始めた右腕が、次は夏のシード権獲得に挑む。【前田和哉】