今春のセンバツで準優勝した東海大四が、函館大有斗に辛勝し、4強一番乗り。再三のピンチでエース大沢志意也(3年)が踏ん張り、準決勝進出を決めた。

 次第に強まる雨の中、苦悶(くもん)の表情で139球を投げきった。東海大四のエース大沢は「絶対に点数をあげないと、強い気持ちを持って投げた」。不調を感じながらも、なんとか3点のリードを守った。

 センバツ準V右腕をもってしても「甲子園より緊張した」という最後の夏、南北海道大会の初戦。2回2死から連打を浴びて一、三塁のピンチを招く。ここで左翼手の左近が、頭上を越えるかという安打性の打球を背走してランニングキャッチし、失点を防いだ。「直前にファウルフライを追いかけて(スタートする)1歩目の感覚をつかんでいた。志意也を助けられて良かった」と左近。「縦のスライダーを何球か見逃された時に、今日はダメかなと思った」と弱気になっていた背番号1を、チームメートの超美技が救った。

 持ち味のリズミカルな投球テンポは影を潜め、球が上ずった。6回には、センバツ決勝以来となる3ランを浴びて、この夏、4試合目で初失点。終盤はピンチの連続だった。10奪三振で要所は締めたが「今日の投球は60点ぐらい。捕手の配球通りに投げられず、イライラして、リズムを作れなくて、攻撃につなげられなかった」と、反省いっぱいだった。

 緊張で眠れず「朝7時に起きようと思ったのに、5時に目が覚めちゃった。寝ようと思っても、寝られなかった」と大沢。甲子園で準優勝し、追われる立場となってから、常に重圧と闘ってきた。「抑えて当たり前という雰囲気で、打たれるたびに相手ベンチからはすごい歓声があがる」。栄誉の代償は大きいが、それでも、負けるわけにはいかない。「失投で負けるのは嫌。しっかり気を引き締めて、次は完璧な投球をしたい」。3季連続の甲子園まで、あと2つ。中途半端では、終われない。【中島宙恵】