柏崎工が、高田商に延長10回、3-2で劇的なサヨナラ勝ちを決めた。初回に1点を先制したが、9回に逆転され、その裏に追いつくクロスゲーム。2-2で迎えた延長10回1死一、三塁のシーンで広田朗大(あきひろ=3年)がスクイズを決め、三塁走者の金子大翔主将(だいと=3年)が本塁に頭から突っ込んだ。

 顔を天に向けた金子主将は、降りしきる雨をまともに浴びて両手を広げた。本塁に頭から突っ込み、横転してから立ち上がったユニホームは泥まみれ。「うれしさが、心の底から出た」と笑った。グラウンドコンディション不良のため、試合開始は1時間10分遅れ。2時間9分に及ぶ激戦は延長サヨナラで決着した。

 2-2で迎えた延長10回、1死一、三塁だ。カウント2-2から広田が仕掛けたのがスクイズ。ボールは高田商・高木勘佐投手(かんすけ=2年)の前に転がった。「ヤベェ。アウトだ」と本塁に向かって走る金子主将の頭に一瞬、弱気な思いがよぎった。しかし、迷いを振り切り本塁に突進した。「自分がチームの顔だと思う」と話したプライドが最後のシーンで爆発。高木のグラブトスがそれ、スリリングなサヨナラ勝ちに結びついた。

 ゲームを動かしたのも、金子主将だった。1回2死一塁の場面で、右翼越えの先制適時二塁打。「先制打はみんなのために打った」と言う。1年春からの正捕手で不動の4番打者は「3年間の集大成。意地で打った」とも言った。

 1-0から8回に追いつかれ、9回には一時逆転された。そんな危機的な状況に陥っても金子はナインに笑顔で接し、チームを鼓舞し続けた。「つねに声をかけチームをひとつにしようとした。チームのモットーは明るく楽しく粘り強く」。そう話した金子主将はチームの合言葉をグラウンドで実践した。【涌井幹雄】