第99回全国高校野球選手権山形大会(7月12日開幕)の組み合わせ抽選会が29日、山形市内で行われた。昨夏代表の鶴岡東が16日の初戦(2回戦)で山本学園対長井工の勝者と対戦。最速148キロ右腕、吉住晴斗(3年)がチームを3年連続の夏に導く。

 聖地のマウンドに戻ってみせる。吉住の剛球がV3に導く。初戦でいなべ総合学園(三重)に敗退した昨夏の甲子園は、終盤の1イニングしか投げられなかった。「3連覇しか考えてない。絶対にあのマウンドにまた立ちたい」。鶴岡東が入ったブロックには、公立最上位の山形中央や春準優勝の羽黒がひしめくが、剛腕の眼中にはなかった。

 今春の県大会は投手陣全体の底上げのため、他の投手にマウンドを譲った。自慢の直球をさらに磨くことに集中し、水面下で成長を続けていた。「三振を狙ってとれるようになりたい」と、参考にしたのが阪神藤川球児の「火の玉ストレート」。今まで人さし指と中指を指1本分開けて握っていたが、藤川の握りを参考にして2本の指をそろえて投げるように工夫。6月の練習試合で最速を2キロ更新する148キロをたたき出していた。

 吉住 藤川さんみたいに、しっかり球に回転をかけたかった。最初はうまくいかなかったけど、今は思った以上にしっくりきている。

 直球に磨きがかかると、斜めに鋭く曲がるスライダーの威力も増した。4月後半の練習試合から1カ月間は無失点を続けた。佐藤俊監督(45)は「安定感が上がった。ただの直球ではない」と絶賛する。万全の状態で夏本番に臨む。

 底知れぬ可能性を秘める剛腕が、夢の大台突破を口にした。「甲子園までには150キロを出して、絶対にプロに行く」。185センチ、85キロの肉体には、夢と希望が詰まっている。【高橋洋平】