2連覇を狙う横浜(神奈川)に、またスーパー1年生が登場だ。「オリックス吉田正尚2世」小泉龍之介外野手が、同点の2回にバックスクリーンへ公式戦初となる決勝の3点本塁打を放った。鯖江ボーイズ(福井)時代に全国制覇を達成したルーキーが引っ張り、3本塁打含む10安打9得点を奪った横浜が秀英に快勝した。

 171センチの体に秘められたパワーがはじけた。1-1の2回2死一、三塁。小泉が、ファーストストライクの真ん中直球をグインと振り抜いた。舞い上がった打球は、中堅120メートルのバックスクリーンへ吸い込まれた。

 小泉 (初戦で先発した1年生の)及川が注目されて「自分も」という思いもありました。出番が来たら思い切りやってやろうって。ストライクをどんどん振っていこうと思いました。

 続く2番の長南有航外野手(2年)が右翼場外へ2戦連発の特大弾を放ち、2者連続で衝撃を与えた。

 小泉は福井・武生第二中時代、鯖江ボーイズに所属していた。オリックス吉田正は先輩にあたる。中学2年でエースとして全国制覇を達成した数カ月後、先輩から直接アドバイスをもらう機会があった。「思い切り振ることが大切だと言われました。吉田さんの、スイングの思い切りの良さをお手本にしています」。身長が2センチしか変わらない先輩の言葉は“宝物”になった。

 主将の福永奨捕手(3年)のソロも含め、計3本塁打が飛び出た。昨冬もチームは(1)トレーニング(2)食事(3)ロングティーの3つに重点を置いた。特に(1)は入念で、12月から2カ月半、週1、2回をメドにトレーニングだけの日を作った。「体幹強化」を目的に、器具を使わず4~5時間体をみっちり動かした。地道な鍛錬が、計3本塁打につながる強打の源でもある。

 1年生のリードオフマンが、2安打3打点の活躍で勝利に貢献。平田徹監督(34)は「小泉は思い切りがいい。(先発した1年生の)黒須も落ち着いて投げられて大収穫です。日本一を狙う野球をしていきたい」と静かに手応えを口にした。【和田美保】

 ◆小泉龍之介(こいずみ・りゅうのすけ)2001年(平13)5月29日生まれ、福井県出身。小3から野球を始める。小6時に全国小学生陸上競技交流大会「男子ソフトボール投げ」で80・86メートルを記録し優勝。鯖江ボーイズでは最速138キロ右腕として全国制覇の立役者となった。横浜では1年春からベンチ入り。50メートル6秒0。遠投110メートル。家族は両親と兄。171センチ、72キロ。右投げ右打ち。