今夏の全国高校野球選手権に出場した北海・阪口皓亮投手(3年)が29日、プロ志望届を提出し、日本高野連から発表された。甲子園初戦の神戸国際大付戦に先発。最速148キロをマークし、一気に評価を上げた。186センチの長身から投げ下ろす直球と、キレのある変化球が武器。10月26日のプロ野球ドラフト会議で、同校から直接では14年西武育成1位の戸川大輔外野手以来の指名を待つ。

 北海・阪口が新たなステージへ向け決意を固めた。「プロはずっとあこがれてきた舞台。僕は甲子園ですごい結果を出したわけではないが、志望届を出さないと始まらない。楽しみに、その時を待ちたい」。甲子園のわずか58球で一気にドラフト候補に浮上した右腕が、シンデレラストーリーを成就させる。

 今夏の南北海道大会で計27回16失点。制球難から左腕多間の救援をうける機会が多かった。ある球団のスカウトは「北海道では制球に課題があるイメージだったが、甲子園での投球で球速を含め一気に評価が上がった」と分析する。8月12日、聖地での神戸国際大付戦に先発。最速148キロを記録した上、130キロ前後のキレのあるカットボールを交え、3回2/3無四球1失点、4三振とアピールした。複数の球団関係者が「体が大きくなれば、もっと球速が出る」と話すなど、大器の片りんをのぞかせた。

 夢は、女手一つで育ててくれた母京子さん(42)に恩返しを果たすこと。2日から2泊3日で大阪の実家に帰省し、母、兄、妹と家族会議を行った。母から「自分の人生は自分で決めなさい。やるからには全力で挑戦しなさい」と背中を押された。「母には野球のために時間もお金も費やしてもらった。だから僕は野球で恩返しするのが一番」。心は固まった。

 性格はプロ向きで「たくさんの人に見られながら野球をするのが好き。いい投球をして大歓声を起こせる選手になりたい」と未来を思い描く。関係者の話によると、既に7~8球団の調査書が届いている模様で「育成枠でもプロに行きたい」と、こだわりはない。運命の日は10月26日。大阪生まれ北海育ち、吉本新喜劇好きの陽気な18歳が、吉報を待つ。【永野高輔】

 ◆阪口皓亮(さかぐち・こうすけ)1999年8月15日、大阪市生まれ。小学2年時に三東ベアーズで野球を始める。中学時代は大阪・大正ボーイズに所属。北海では2年春にベンチ入り。昨年10月、岩手国体の木更津総合戦で全国大会デビュー。好きなプロ野球選手は日本ハム大谷翔平。尊敬する人は昨夏甲子園準優勝の大西健斗投手(慶大1年)、好きなお笑い芸人はノンスタイル。家族は母京子さんと兄、妹。右投げ左打ち。186センチ、77キロ。

 ◆北海出身のドラフト指名選手 同校から直接でドラフト指名を受けたのは5人。そのうち73年日本ハム3位・竹口幸紀投手、77年ロッテ5位・佐藤健一(現兼伊知)投手(プロ入り後内野手転向)、14年西武育成1位・戸川大輔外野手が入団している。同校から大学、社会人などを経由してのプロ入りは、70年ヤクルト3位・若松勉(電電北海道)、72年中日3位・谷木恭平(新日鉄室蘭)、12年日本ハム3位・鍵谷陽平投手(中大)らがいる。