東北(宮城1位)の最速147キロ右腕、中山翔太(3年)が金足農(秋田1位)を9回6安打8奪三振無失点に封じ、公式戦初完投初完封をマークした。外角低めに力のある直球を集め、この日は自校のスピードガンで最速143キロを計測。「バックに助けられた。自分だけの力じゃ完封できなかった」。1年前の同日の東北大会、九里学園(山形)との2回戦以来1年ぶりの公式戦先発にも動じることなく、優勝候補の一角を抑え込んだ。

 この日の朝、投手陣の底上げを狙って我妻敏監督(36)から1年ぶりの先発を告げられ、「意気に感じた」。課題だった初回の立ち上がりを3者凡退で切り抜けて波に乗ると、8回に1四球を許しただけでテンポよく投げ続けた。「真ん中から低め目がけて、思い切り投げることができた」と胸を張った。

 投球フォーム改造が実った。3月までは上手投げで制球が安定せず、4月に入って我妻監督から「体の回転が横だから、肘を下げてみろ」と助言を受けると「思ったよりしっくりきた」。スリークオーターに変えてからは見違えるほど制球が安定。140キロ台前半だった直球は147キロまで到達し、頭角を現した。

 ダブルエース左腕の葛岡仁と古川原将真(ともに3年)の3人で形成する強力3本柱がついに完成した。「目の前の試合を1つ1つ勝って、優勝したい」。2学年上の先輩は、春の東北大会優勝をステップに夏の甲子園出場にたどり着いた。今年も、その流れに乗ってみせる。【高橋洋平】