東北6県のトップを切って、第100回全国高校野球選手権記念大会の秋田大会(7月11日開幕、こまちスタジアムほか)の組み合わせ抽選会が21日、秋田市内で行われた。春8強に終わった昨秋王者の能代松陽は、7月14日の初戦2回戦で羽後と横手城南の勝者と対戦する。165センチのエース左腕・佐藤開陸(かいり、3年)は今春の登板機会はわずか県大会の2イニングのみ。夏本番にピークを合わせて全試合に登板し、現校名での初優勝をつかみ取る。

 第100回の夏で、すべてを出し尽くす。佐藤がフルイニング登板での優勝を宣言した。「最後の夏に集中して、ピークを合わせている。チームを甲子園に導けるように、全試合で投げるだけ」。甲子園に出場するには5連投が必要。今春は秋田商との県2回戦で投げた2イニング(3奪三振無安打無失点)のみで、消耗は全くない。夏開幕を逆算し、一気にリミッターを解除する。

 悔しさをバネに自分を追い込んだ。昨秋の東北大会は準決勝で聖光学院(福島)に14点差で大敗。2-8の9回表に8点を失い、センバツ出場を逃した。この冬はネットスローを含む1日200球前後の投げ込みと、ビニールハウス内で走り込みをひたすら継続。「力が足りなかったし、聖光戦の最後はスタミナ不足だった。冬は悔しさをぶつけながら練習した」と当時を回想した。

 春を迎えて165センチ、65キロの体格に変化はなかったが、最速140キロを誇る直球の球質が良化していた。球速は未計測だが「真っすぐのキレと伸びが変わった。143、4キロぐらいは出ると思う」。さらに封印していたフォークに改良を加えた。「落ち幅が少なくて秋は使ってなかったけど、この春からはよく落ちるようになって、投球の幅が広がった」と目を光らせた。

 初戦は羽後と横手城南の勝者に決まった。「相手は関係ない。1つ1つ勝っていくだけ」。165センチの「小さな巨人」が勝負の夏に、巨大な足跡を残す。【高橋洋平】